研究課題/領域番号 |
21K11952
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
篠田 一馬 宇都宮大学, 工学部, 准教授 (50639200)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 画像処理 / 分光イメージング / 偏光イメージング / フィルタアレイ / 圧縮センシング / フォトニック結晶 |
研究実績の概要 |
本研究では,ランダム構造を持つフォトニック結晶フィルタを開発し,モノクロイメージャに位置合わせをせずに搭載するだけで,単一カメラかつ単一露光撮影で分光・偏光・RGB画像を撮影できるイメージング方法を目指している. 本年度は,ランダムフィルタの感度設計の理論検証,および画像復元手法(デモザイク)のアルゴリズム検討を中心に行った.ランダムフィルタの感度設計においては,グラフ信号処理の活用によりパターンの複雑度を評価可能であることが確認され,今後,そのパターンの最適化に着手する.実機製造に関しては,シミュレーションによる感度設計およびCADデータの作成が完了し,フォトニック結晶の成膜検証を行った結果,微細領域ごとに異なる感度特性が容易に実現できることが確認された.当初の予定通り,次年度以降にセンサへの実装方法を検討し,分光偏光同時撮影の実機検証を進める予定である.また,デモザイクについては,画像の全変動と重み付き核ノルムの正則化を用いた最適化手法を提案し,画質の改善が確認された.ただし従来の線形演算と比較して膨大な計算時間が必要となるため,リアルタイムイメージングのために,より簡素化したアルゴリズムを開発する必要がある. 本年度の成果は米国光学会の学術誌であるApplied Opticsに採択され,さらに文部科学省ナノテクノロジープラットフォーム事業における令和3年度「秀でた利用成果」優秀賞を受賞した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分光偏光フィルタアレイのための感度設計およびデモザイクを,当初の予定よりも早く実施することができた.また,当該成果に関する受賞から,高い注目度を得ることができた.
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今後の研究の推進方策 |
今後は引き続きフィルタアレイの感度設計を進め,実機における感度制約を明確化する.特に初年度は研究協力者による機器提供が効果的に行われたため,予定されていた物品購入費用の一部をデバイス試作に補填することが可能となり,実機における感度検証を行えるようになった.よって,次年度ではフィルタの実装方法を含めた検証を進める予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
感染症対策の関係で学会参加と打ち合わせがオンライン化され,共用機器利用も技術代行によって遂行したため,旅費支出が0円に抑えられたことが主な理由である.しかし,当初利用を予定していた計算機の台数が不足しているため,次年度では計算機購入の費用に充当する予定である.
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