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2021 年度 実施状況報告書

雑音環境下の音声知覚における情報統合メカニズム

研究課題

研究課題/領域番号 21K11959
研究機関早稲田大学

研究代表者

小林 まおり  早稲田大学, 人間科学学術院, 助教 (90451632)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード音声知覚 / 雑音環境 / 聴覚的補完
研究実績の概要

本研究では、雑音下での音声知覚のメカニズムの一端を明らかにするために、時間-スペクトル的に分布した音韻手がかりの統合過程について検討する。音響情報の組み合わせを[1]音一般に働く法則と[2]音声独自の手がかり、および[3]それらの組み合わせ、の3段階で操作する。[1]については音一般に働く法則としてBregman (1990)が提唱した発見的規則のなかから、調波性、立ち上がりの時間的同期、周波数変動の同期を音声信号処理によって操作する。[2]については音声独自の手がかりとして、調音結合に着目する。 [3]さらに[1]と[2]の組み合わせによって検証し、音一般に働く法則と音声独自の手がかりの相互作用が音韻修復に及ぼす影響について検討する。年次計画としては、2021年度では[1]について、2022年度には[2]について、最終年度では[3]について行う予定である。
2021年度では、音声の調波性、調波成分の時間的同期、および調波成分の時間的同期を操作した刺激を作成し、聴取実験を試みた。予備実験を行ったところ,音声刺激の合成手法の問題点が指摘された。手法上の問題点を解決後、すみやかに本実験に移行する予定である。また、2022年度に行う検証に先だち、プロのアナウンサーの発話音声を収録する予定であったが、新型コロナウィルスの蔓延により収録が遅れている。そのため、市販のデータベースに収録されているプロの音声と素人の音声を対象に音響分析を行い、聞き取りやすい音声に見られる音響特徴について、特に調音結合に着目して検証を行った。この分析結果の一部を研究会において発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2021年度は聴取実験に行う音声刺激の生成に着手した。音声の調波性に着目し、調波成分の調波性や時間的同期を操作した音声を合成した。各々の条件を操作した合成音声を作成し予備実験を行ったところ、合成音声の不自然さによって聴取実験の結果が大きく影響されることが示唆された。そこで現時点では、不自然さの要因を明らかにし、音声合成の改良を試みている段階である。
また、2021年度は2022年度の検証に先立ち、プロのアナウンサーによる音声収録を行う予定であった。しかし、新型コロナウィルスの蔓延により収録が延期となった。そのため、プロのアナウンサーの音声と一般人の音声が収録されている既存のデータベースを用いて、聞き取りやすい音声見られる特徴について音響分析を行なった。その結果、プロの話者についてはアナウンサーフォルマントと呼ばれる2.5kHz帯域前後のエネルギーが大きいことが確認された。また、一般人に比べて母音空間も大きく、各子音の音響特徴がはっきりと表れていることが確認できた。調音結合に大きく影響するとされているわたりについても物理的に異なることが示唆された。一般の男性話者と女性話者については研究会で発表を行なった。

今後の研究の推進方策

調波成分を操作した音声の作成は不自然性を解決次第、聴取実験に着手する予定である。また、プロの話者による収録についても環境が整い次第進める予定である。その際、2021年度の音響特徴の分析で示唆されたプロの話者にみられるわたりの音響特徴をさらに検証するために、系統的に子音を操作して収録する予定である。収録した音声について音響特徴上の分析を進めつつ、それらの検証で明らかにされた特徴の音韻修復への影響について聴取実験を行うための準備も進めていく。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナの蔓延により音声収録を進めることができなかったため、昨年度の予算の一部を今年度に繰り越している。今年度は収録についても行う予定であり、これらの予算を執行する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 音声の聞き取りやすさに関わる性別による音響特徴の違い-ATRオン英データベースを用いた分析-2021

    • 著者名/発表者名
      小林まおり, 倉片憲治
    • 雑誌名

      日本音響学会聴覚研究会資料

      巻: 51 ページ: 325-330

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公開日: 2022-12-28  

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