モーフィングエッジ描画(MED)は部分エッジ描画(PED)のアニメーションによる拡張で、各エッジが、部分的に省略された部分描画と完全描画の間をモーフィングにより繰り返し変化する。連結図によるグラフ描画はネットワークの可視化手法として広く利用されているが、大規模グラフを対象とした際にしばしば発生する視覚的乱雑(ヘアボール状態)が観察に支障をきたす。本研究はこのような問題をMEDによって解決することを目指して実施した。 MEDでは周期的にモーフィングが行われるが、読み取り速度を向上させるためには周期の短縮が重要と考えた。そこで、スケジューリングアルゴリズムの3種類のバリエーションを完成させた。(1) すべてのエッジが最短の状態に戻る前に次の周期を開始する、(2) 交差を発生させずに可能であれば1周期中に2回以上の伸縮を行う、(3) 交差数を増やさないという条件を緩めて、瞬間的な交差数を各エッジにつき最大kまでは許容することにする、というものである。これらの有効性の評価については、比較対象が多いことから、信頼できる評価結果を得るにはさらにサンプルを集める必要がある。 モーフィングの形態のバリエーションを検討するために、まず静止画であるPEDに関して多くのバリエーションを検討した。静止画に関してではあるが、様々なバリエーションを発案できたとともに、薄色によるエッジ描画が可読性に好影響を与えそうだという知見が得られた。さらに、異なる透明度で描かれたエッジが混在する条件における、グラフの可読性評価を実施するともに、半透明のグラデーションを用いたモーフィングを定式化した。半透明のグラデーションを用いたモーフィングのスケジューリング手法の開発は今後の課題である。
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