研究課題/領域番号 |
21K11992
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
藤波 香織 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10409633)
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研究分担者 |
辻 愛里 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10774284)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 作業支援 / 視線計測 / 機械学習 / ネットワーク特徴 / 行動認識 |
研究実績の概要 |
本研究では,作業者の技能レベルに適応した支援に加え,自発的な技能習得を促す要素を支援システムに組み込むことで,高い貢献感を得られる技能レベルに迅速に到達することを目的としている.研究初年度の2021年度は作業を通じた技能レベル推定法の開発のために以下を実施した. 1)作業時の迷いの種類やレベルから技能レベルを推定する手法の開発のため,文献や聞き取り調査を元にレゴブロックを用いて適度に難しい4種のモデル組立タスクを決定した. 2)モデル組立タスクを実施中の装着型アイトラッカーによる視線遷移,腕時計型皮膚電位計測器による精神負荷,卓上撮影カメラによる手の位置の収集実験環境を構築し, 8名の被験者からデータを収集した. 3)収集した視線情報から,15個の部品箱と各1箇所の作業場所,完成図,組立説明書を表す計18個のAOI(Area of Interest)への滞在有無を判定する処理を行い,作業時の視線遷移を18個の領域間の遷移で表した.迷いの有無や種類により異なる遷移パターンを示すと仮定し,遷移パターンを重み付き有向ネットワークと見なしたときにこのネットワークの特徴を表す90次元の情報を算出して機械学習により判定モデルを構築した.8名のデータを用いた評価において,タスクの種別毎に10分割交差検証を行ったときの平均F値は0.75,学習したタスクとは異なるタスクのデータでテストした1タスク抜き交差検証の平均F値は0.73となりタスクの種別の影響を受けにくいことを明らかにした.上記はタスクの区切り(ステップ)ごとに迷いの判定を行うケースであるが,それ以外にも手の位置情報を用いて手が停止した単位で判定するケースについても評価を行ったところ,ステップ単位よりやや精度が落ちることを確認した.以上の成果を情報処理学会第84回全国大会にて発表を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
データ収集においては機材の調達や対面行動の制限などにより2021年度中に収集できたのは8名となった.引き続き追加でデータ収集を行い,多様なデータを用いた個人差の有無などの検証実験に繋げていく予定である.
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今後の研究の推進方策 |
現状は部品箱の位置が特徴量に反映されているが,判定モデルの一般化に向けて位置に依存しない特徴量の導入を行う.また現状ではデータ収集を行った上でオフラインで判定を行っているが,リアルタイムにデータを収集しながら判定を行い,その後の支援処理に繋げるためのシステム化を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍による国内外の出張機会(含む参加登録費)と実験被験者への謝金の大幅な減少により差額が発生した.2022年度以降は徐々に対面での学会発表も増えてきているため,使用の予定がある.また実験被験者についても2022年度前半に実験を行うため,2021年度使用予定であった分を使用する予定である.
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