研究課題/領域番号 |
21K11994
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
佐藤 克成 奈良女子大学, 工学系, 准教授 (00708381)
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研究分担者 |
菅原 徹 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (20622038)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 温度感覚 / 分解能 |
研究実績の概要 |
温冷刺激デバイスは、身体性メディアやヘルスケア機器のフィードバック手法として、需要が高まっている。従来はデバイス全体が一様に温度変化する1次元的なデバイスであるが、2次元の温度分布を再現することで、刺激がもたらす効果の向上や刺激提示の効率化が期待できる。本研究は、2次元の温冷分布刺激デバイスの設計指針を得るために、温冷感覚の時間分解能と空間分解能を解明する。得られた知見の応用例として、複数のペルチェ素子をマトリクス配線・制御した温度分布刺激デバイスを設計、試作する。これにより、本研究により得られる知見の妥当性と有用性を示す。 1年目は、主に温冷感覚の時間分解能の評価に取り組んだ。従来困難であった1Hz以上の温度変化刺激を、研究代表者が実現した空間分割刺激手法を用いることで実現する。まず、2つのペルチェ素子を用いた実験システムを実装し、12名の女性を対象とした実験を実施した。その結果、平均としては0.94Hz程度、参加者によっては1.67Hz程度の刺激まで知覚可能であることが示唆された。この結果は、LEDによる2次元分布表示のように、温冷刺激素子のマトリクス配線・制御を行う際の設計指針として活用できる。 また、空間分解能を評価するための実験装置実装に向け、ペルチェ素子の配置間隔と大きさを検討するためのモックアップを構築、評価を行った。今後はこの結果に基づきフレキシブルペルチェデバイスを実装し、空間分解能を評価していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
時間分解能の評価については概ね順調に進展している。ペルチェ素子を樹脂に配置するための装置の故障により、空間分解能を評価するためのフレキシブルペルチェデバイスの構築に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
時間分解能について、2021年に得られた結果を参考により詳細な分解能を明らかにする。また、フレキシブルペルチェを実装し、空間分解能を評価する心理物理実験を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度中に計上していた、フレキシブルペルチェを用いた実験装置の構築に関わる物品費が、ペルチェ素子を樹脂に配置する装置に故障が生じたため使用できていない。またこれに伴い、空間分解能の評価実験を行っておらず、人件費を使用できていない。また、コロナ禍により人を対象とした実験の実施や学会発表へのキャンセルが生じた影響もある。 2022年度は、当初予定していた支出に加え、2021年度に実施できなかったフレキシブルペルチェの実装や空間分解能評価の実験環境の構築、実験実施の費用として使用する。
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