研究課題/領域番号 |
21K12003
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研究機関 | 鈴鹿医療科学大学 |
研究代表者 |
中村 太郎 鈴鹿医療科学大学, 医用工学部, 助教 (70373082)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ウェアラブル / 生体計測 / スマートテキスタイル / IPMC / ヘルスケア / 生体電気信号 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、柔軟な繊維状のセンサと衣類を一体化させ、着衣のみで人の動きと生体電気信号をモニタリング可能なスマートウェアを開発することである。 2022年度は、センサを小型化したスマートウェアを設計し、着心地の向上を目指した。また、周囲に水の存在する環境(水中)でのモニタリング機能の評価を行った。 従来のスマートウェアに組み込んでいたIPMCのサイズを大幅に小型化し、スマートウェアに組み込んだ。IPMCを小型化したスマートウェアは、従来のスマートウェアと比較して、出力電圧が小さくなる傾向があったが、外部の雑音に埋もれることがない出力が得られ、ヒトの動きによる信号と生体電気信号を分離するためのフィルタ条件も同様の条件を設定することで各信号を分離することが可能であった。 2021年度は、スマートウェアに水を含ませた状態で出力特性を計測する実験を行ったが、2022年度は、スマートウェアを手首に取り付け、水中に前腕をつけた状態での計測を行った。その結果、手首関節の動きによる出力電圧と、生体電気信号ともに出力電圧の振幅が大きくなる傾向があり、大気中での計測と比較して雑音が小さくなる傾向があった。 水中での測定は周囲に水が存在していることと、水圧によってセンサと肌との密着性がよくなり、接触インピーダンスが下がったことによるものと考えられる。水中での生体モニタリング機能は十分なものであり、大気中での測定のみならず、雨天時でのモニタリング、プール競技のトレーニング用ウェアラブルセンサ、海中作業中でのアラート機能付き生体情報モニタリング装置に応用できる実用性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は、感染症対策を実施しながら実験協力者にスマートウェアを着用して実験を行うことができた。実際にスマートウェア着用して計測を行った結果、ヒトの関節の動きと生体電気信号が合成された信号が出力され、単純なフィルタ処理を行うことで各信号を分離することができた。また、水中での生体情報モニタリングの実用性が示すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
スマートウェアからヒトの動きの信号と生体電気信号が合成された信号が出力され、簡単なフィルタ処理で各信号を分離して観察することができた。今後は、四肢(右手、左手、右足、左足)にスマートウェアを取り付けて計測を行い、四肢に装着したセンサから出力された信号をもとに、ヒトの姿勢を推定できる方法を確立し、動きや姿勢と生体電気信号を同時に表示可能なアプリケーションの開発を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は感染症拡大防止の観点から、実験協力者なしでの実験にとどまり、スマートウェアの動作特性計測が行えず計画に遅れが生じた。以上の理由から、2022年度に実施予定であった関節角度計測装置一式を用いた実験に到達せず、2022年度での購入を見送った。 2023年度は、関節角度計測装置一式と四肢に取り付けたスマートウェアの出力を計測するための小型無線生体モニターを購入して実験を進める予定である。
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