研究課題/領域番号 |
21K12009
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
篠原 修二 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任講師 (10325897)
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研究分担者 |
森山 徹 信州大学, 学術研究院繊維学系, 准教授 (20325898)
中島 義裕 大阪市立大学, 大学院経済学研究科, 教授 (40336798)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | レヴィウォーク / 逆ベイズ推定 / 採餌行動 / べき分布 / 指数分布 |
研究実績の概要 |
バクテリアから人間に至るまで様々なレベルの生物の移動行動にレヴィウォークが見られる.一方物理的粒子の移動は,一般にブラウニアンウォークに従う.前者は後者に比べて非常に長い距離の直線移動を伴うという特徴があり,生物と無生物の移動パターンになぜこのような質的違いが生じるのかが注目されてきた. 本研究の目的は,意思決定能力を持つ生物では,非定常環境で判断を下す際の確信度の強弱がレヴィウォークのような移動パターンを引き起こす,との仮説を検証することである.この仮説を検証するため,(1)ベイズ推定に忘却と学習の機能を付加することで,非定常環境でも有効に動作する意思決定モデルを構築し,(2)そのモデルを組み込んだエージェントが非定常環境に置かれた場合にレヴィウォークを行うことを示し,(3)定常あるいは非定常環境に置かれた動物の行動観察実験を通してレヴィウォークが出現する条件を分析する. 本年度は(1)と(2)の部分を達成することができた.(1)に関して,学習(逆ベイズ推定)と推論(ベイズ推定)を同時に遂行する意思決定モデルを構築した.モデルでは両者を混合させる割合をパラメータとして設定する.このパラメータを1に設定すれば学習のみを,0に設定すれば推定のみを遂行するモデルとなる.同時にこのパラメータは学習率=忘却率を表す.(2)に関して,第一に2体のエージェントが互いに相手の内部状態を推定しあうコミュニケーションのシミュレーションを行った.その結果学習と推論を同時に遂行するエージェントの場合,確信度の持続期間にべき分布がみられることが明らかになった.第二に学習と推論を同時に遂行するエージェントを用いて採餌行動シミュレーションを行った.その結果,餌が希少な場合にレヴィーウォークが現れ,餌が豊富にある場合にブラウニアンウォークが現れることが示された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
シミュレーション結果が予想以上にうまく出せたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、定常あるいは非定常環境に置かれた動物の行動観察実験を通してレヴィウォークが出現する条件を分析していく予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
物品購入費や旅費、その他の費用が、残高がちょう0になるよう調整できなかった。
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