研究課題/領域番号 |
21K12015
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
森川 優 学習院大学, 付置研究所, 助教 (40898293)
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研究分担者 |
申 吉浩 学習院大学, 付置研究所, 教授 (60523587)
山本 岳洋 兵庫県立大学, 社会情報科学部, 准教授 (70717636)
大島 裕明 兵庫県立大学, 情報科学研究科, 准教授 (90452317)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 金属有機構造体 / 機械学習 |
研究実績の概要 |
金属有機構造体は新たな吸着材量や触媒などの材料として期待されている多孔質材料である。活性炭やゼオライトのような天然の多孔性材料との違いは金属物質と有機物質の組み合わせを変更することによって任意の物質特性をもつ多孔性材料をデザイン可能である点にある。金属有機構造体の組み合わせの自由度は高く、様々な物質特性を持たせることが可能であると考えられるが、組み合わせの自由度が高いことにより狙った特性をもつ組み合わせを発見することは容易ではない。旧来の手法では総当たりで組み合わせを確かめるしかなく非常に非効率であった。 本研究では有用な特性を持つかと考えられる金属有機構造体を機械学習手法を用いて予測することを目的としている。 金属有機構造体のデータは文字列勝でかつ構造情報を含んだ複雑なデータであり、よく利用される単純な手法では結合情報を欠落させてしまうことで正しい予測結果を得ることは非常に難しい。 現状の実績としては、金属有機構造体のデータを機械学習のアルゴリズムを用いて情報をあまり落とさない形で処理できる用に変換を行った。金属有機構造体のデータはグラフ構造であるため、現在の計算機では機械学習における予測に必要なグラフ構造同士の類似度を直接計算することは理論的に不可能なため、近似解を得る必要がある。 すでにどのグラフ構造同士の近似解が金属有機構造体の特徴をとらえているかを試行錯誤中であり、どの部分構造を省略させてはいけないかを見つけつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
有機金属構造体の文字列情報から木構造マッピングカーネルへの変換を行うことが可能となった。木構造マッピングカーネルから比表面積の予測を行い金属有機構造体のどの部分構造を省略してはいけないかを見つけつつある。 また、木構造マッピングカーネル以外のグラフ構造同士の類似度の近似解を求めるアルゴリズムとの比較実験を行うための環境構築を行うための準備も進みつつある。 一部の単純な手法を用いた比表面積の結果と実際に生成された金属有機構造体の比表面積データとの比較も行われた。
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今後の研究の推進方策 |
グラフ構造を木構造マッピングカーネルへと変換する手法の改良を行いつつ、既存のグラフ構造の類似度の近似解を求める手法との比較実験を行う予定である。 実際に得られた比表面積の予測値と実際に生成された金属有機構造体の比表面積の実測値との比較実験を行う予定である。 また、金属有機構造体の生成過程におけるパラメーターも予測値として出力することも考えていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナの流行により出張して研究データを取得するような活動や他所でも打ち合わせが行えなかったため次年度使用額が生じた。 使用計画としては、計算機や周辺機器の拡充への費用、コロナによる行動制限が緩和されつつあることから、学会発表や共同研究者との打ち合わせなどの交通宿泊費が必要なため。
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