現在、自動運転が直面する主な課題の一つとしては、人間が運転する自動車、歩行者およびサイクリストが混在する状況における運転である。本研究は、協調認識手法を使用することによって、サイクリスト(自転車利用者)の意図を予測し、自動車と自転車の事故を低減することを目的とするものである。サイクリストの体や頭の向きを認識することは、自動運転においてサイクリストの動きや意図を予測するための重要な要素である。初年度の研究では、車載カメラにより頭部を回転させる動作を検出する手法を提案した。 しかしながら、車載カメラによる検出するパフォーマンスは光の変化に依存し、推定結果は不安定になる可能性がある。パッシブセンサーであるカメラとは異なり、LiDARはレーザー光を照射して、その反射光の情報をもとに対象物までの距離や対象物の形などを計測するアクティブセンサーである。したがって、LiDARセンサーは光の変動による影響を受けにくい。これにより、LiDARベースの知覚システムは、カメラのみを使用するのシステムを支援することに寄与する。今年度では、LiDARセンサーのデータを用いて、体と頭の向きを含めたサイクリストの姿勢を推定する研究を進めようとする。 本研究では、サイクリストの姿勢を推定するために、 2 つの異なる方法を提案する。 1 つ目の方法は、LiDAR データをグレー画像に変換することにより、サイクリストの方向を分類することである。 二つ目の方法は、3D 点群データを使用することにより、サイクリストの方向を推定することである。 実験結果は、3D 点群データベースの方法が、 2D 画像ベースの方法のパフォーマンスに比べて、より優れていることが分かった。さらに、LIDARベースの方法は歩行者の行動認識においても適用されている。
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