研究課題/領域番号 |
21K12051
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
谷口 唯成 東海大学, 理系教育センター, 准教授 (70392032)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 区分的システム / 離散時間システム / 非線形システム |
研究実績の概要 |
本研究の目的は制御対象の物理的動特性ではなく、入出力データから区分的非線形モデル化を実現するシステム同定手法の開発を行うことである。令和3年度はシステム同定によって構築される区分的システムの制御系設計手法の開発を行った。区分的モデルの一つである離散時間区分的多重線形モデルを用いて、離散時間非線形システムに対する入出力フィードバック線形化を用いたレギュレータとモデル追従制御器を導出した。区分的多重線形システムは、非線形動特性を有し、領域の端点値によって構築される。各区分的モデルをBrunovsky正規形と呼ばれる一つの線形化された系に変換するために、入出力フィードバック線形化を適用し、数値シミュレーションで設計した制御器の有用性を確認した。 また前述の研究については、単一入出力系のシステムに対するものであったが、多入力多出力システムの制御は、多入力多出力システムの内部干渉により入力の変化がすべての出力に影響するため、より制御系の解析、設計が困難である。そこで多入力多出力離散時間非線形システムに対して、区分的多重線形システムを用いたレギュレータと出力追従制御器を提案した。区分的多重線形モデルは、分割された超立方体領域の頂点値のみを用いて構成される。入出力フィードバック線形化により、各区分システムをBrunovsky正準形式で表される1つの線形化されたシステムに変換し、提案手法の有用性を計算機シミュレーションにより示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は制御対象の入出力データから区分的非線形モデル化を実現するシステム同定手法の開発を行うことである。本年度の研究は研究計画の3)モデルの領域分割数、分割地点の最適化と実システムへの適用に該当し、おおむね研究計画は順調に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
モデルを構築するための入出力データの分類と領域分割の研究を中心に実施する。内容としては、データのクラスタリング:コンピュータシミュレーションにより制御系の動特性が既知な線形/非線形システムから入出力データなどの数値データを作成し、領域分割のための入出力データの分類をK-means法、多次元尺度構成法などクラスタリング、ベイジアン法等で試みる。また学習理論の適用を図る。上記の手法で構築が困難な場合や、より適切な分類を得るために、PythonやR、MATLABなどの環境を用いて、サポートベクターマシンはじめとした機械学習/人工知能の手法を活用する。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度購入予定であったコンピュータ機器がコロナ過を原因とした品不足によって、購入できなかったため。
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