研究課題/領域番号 |
21K12061
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
古川 徹生 九州工業大学, 大学院生命体工学研究科, 教授 (50219101)
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研究分担者 |
石橋 英朗 九州工業大学, 大学院生命体工学研究科, 助教 (30838389)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 最適輸送距離 |
研究実績の概要 |
理論面の研究については,以下の3点について達成した.(1) データ集合体を多様体集合としてモデリングする際において,最適輸送距離に基づくメタモデリングを行うことで,データ集合体をファイバー束としてメタモデリングできることを示しした.またタスクごとに潜在変数密度に差異がある場合でも,密度補正した最適輸送距離で学習できることを示した.(2) データ集合が少数のサンプルしか持たない場合であっても,マルチタスク学習・メタ学習を可能にする方法を実現した.また情報幾何学の面から学習理論について考察し,m-平坦な空間における平滑化とe-平坦な空間における平滑化を交互に行うことが必要であることを見出した.(3) 時系列データを動的システムが生成したデータ集合とみなし,それらを確率分布集合としてあつかうことでメタモデリングする方法を実現した. 応用面の研究については,以下の3点について達成した.(1) スポーツチームを選手の集合とみなし,チーム集合のメタモデリングを行うことで,チーム編成支援を行うビジュアルアナリティクスを実現した.また提案法は集合データの生成的ビジュアルアナリティクスを実現する汎用的方法論であることを示した.(2) 動的システム集合のメタモデリング法を用いて,多様な身体と多様な運動パターンを持つ歩行ダイナミクスのメタモデリングを実現した.(3) SNSに投稿されたファッションのスナップ写真(コーディネート)をハッシュタグ集合とみなして,それらのモデリングを行うとともに,ハッシュタグによる検索・探索システムを提案した. データ集合体のメタモデリングは計算コストが高くなるため,現実的な計算を行う実装方法の研究を行った.カーネル行列の低ランク行列分解とスパースカーネルの併用で,データ数 N に対して O(N) のオーダーで計算できる可能性を示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の進捗に関しては,ほぼ計画どおりに進んでいる.その理由として,(1) 理論面については,最適輸送距離の有効性と理論化が進んでいること,(2) 情報幾何学の面からの意味付けができたこと,(3) ダイナミカルシステム集合への応用可能性が示されたことが挙げられる.また集合データの生成的ビジュアルアナリティクス手法として提案できたことも理由して挙げられる.
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今後の研究の推進方策 |
理論面については,主課題である最適輸送距離によるメタ多様体モデリングの学習理論を確立し,論文として発表することがもっとも注力する点である.またダイナミカルシステム集合への発展が示唆されたため,この点については二番目に注力する点として研究を進める.さらに並行して実課題への応用とスケーラブルな計算方法の実現についても可能な範囲で研究を進める. またコロナ下で国際会議等の参加を控えていたため,今後は対外的発表も重視する.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナによる学会・国際会議のオンライン開催により,出張旅費が発生しなかった. 2022年度の学会参加費として利用する.
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