研究課題/領域番号 |
21K12064
|
研究機関 | 創価大学 |
研究代表者 |
畝見 達夫 創価大学, 理工学部, 教授 (50151915)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 感染シミュレーション / マルチエージェントモデル / 新型コロナウイルス感染症 / 感染症対策 / 人流・集会モデル |
研究実績の概要 |
シミュレータの新たな機能として、変異ウイルスの侵入とワクチン接種のモデルを導入・実装した。これにより、2021年春から開始されたワクチン接種、および、アルファ株の侵入、6月以降のデルタ株の侵入、12月のオミクロン株の侵入を加味したシミュレーションが可能となった。変異ウイルスについては、その感染力と毒性、ワクチンについては、接種プロトコルと各変異ウイルスに対する感染及び重症化予防効果を個別に設定する。 現実に起きた事象および今後想定される事象の時系列を前提としたシミュレーションを柔軟に実行するためのシナリオ設定機能を拡張し、ワクチン接種の進捗を年齢層別に設定するなどを可能にした。シナリオ記述のためのグラフィカルユーザインタフェースおよび、バッチ処理のための JSON 形式での入力を実装した。 シミュレーション仕組みと実行状況を理解しやすくするためのグラフィクス表示についても改良・拡張を進め、全画面表示の機能を導入し、一般向けの展示にも使えるようにした。 シミュレーション実行用に Mac mini M1 4台を導入し、既存の設備と合わせて、100万エージェント規模のシミュレーションを100回以上実行することが可能となった。1つのシミュレーション試行の実行速度は1分間に70ステップほどである。1日を12ステップで模擬した場合、1年分の実行にかかる計算経過時間は約1時間程度である。 変異ウイルスとワクチン接種のモデルを中心とした内容については、関連する国際会議 AROB2022 (1月オンライン) にて発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シミュレーションモデル自体の拡張は、計画通りである。 実装については、大規模なバッチ処理を前提としたHTTPサーバ版の Linux への移植を進めており、プロトタイプの初期版は実行可能な段階まで到達している。グラフィカルユーザインタフェースを伴うアプリケーション版は、モデルの拡張に合わせて入力用のインタフェースと視覚化用のグラフィクスの実装は順調に進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
HTTPサーバ版の Linux への移植をすすめ、2022年度中には、負荷分散の機能を含めたプロトタイプを完成させたい。2023年度には、それを用いた WEBインタフェースの構築も含めた、機能の拡張をはかる。また、本課題の成果の社会への波及効果を確実とする目的で、モデルや計算方法を解説した文書の整備、さらにアプリケーション版から簡便に利用可能なヘルプ機能の実装も行いたい。 市場での半導体不足の煽りで、高性能パーソナルコンピュータの確保に期間を要することが懸念されるが、既存設備の援用を含め、柔軟に対応したい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
アルバイト費支出について、アルバイト学生の一身上都合により就業時間数が予定を下回った。
|
備考 |
上記 (1) は、当該課題にて開発中のシミュレータを用いた内閣官房新型コロナ対策のための分析結果の公開と一体となったものになっている。
|