研究課題/領域番号 |
21K12068
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
城 真範 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (90357244)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | リカレンスプロット / 基底 |
研究実績の概要 |
研究計画においては貪欲法による実装、線形変換との対応を明らかにすること、応用の検討という三つのテーマを設定している。初年度は貪欲法による実装を行い、乱数列やARモデル、Logistic写像といった系を使って、提案手法である基底による表現がどの程度実際的であるのかを調べた。驚くべきことに20から30本ほどの基底を選択することで、数万点程度の長大な時系列でも表現可能なことがわかった。ただし貪欲法による基底の選択は、フーリエ変換との対応をつけにくいことも明らかになったため、次年度では固定した基底の取り方に挑戦する。またビットシフトによる演算はNAND演算による情報量に評価において困難が生じるため、現時点では扱っていない。 初年度は物理学会にてリカレンスプロットについてのインフォーマルミーティングも主催した。他に、一次元写像のファイゲンバウム点について横断的な探索を行った。これは様々な時系列において本提案手法を適用するためのデータ作成の一環である。 初年度であり応用についての検討は進んでいないが、これは想定内である。ただし、情報理論的な考察を進め、データ圧縮については期待しにくい感触を得ているので、ノイズ低減フィルタや欠損値補完についての応用を検討してゆきたい。 初年度は2つの論文、2つの国際学会、2つの国内学会で発表をした。申請書の3倍程度の成果量であり上々の開始と言える。ソフトウェア購入による予算の不足のため、外注作業が実施できなかった。繰越金を捻出したので、次年度に固定した基底を取る方法、その他解析に付随するC++関数などの外注作業の発注を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
初年度は基本的な部分の実装を完成させた。プロトタイプを作り、リカレンスプロットのカラムの中からランダムに基底を取る方法を確立した。さらに乱数、決定論的カオス、ARモデルを利用して、基底による表現がどの程度時系列の点をカバーできるのかについて検討した。その過程で一次元写像のファイゲンバウム点について横断的な探索を行った。
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今後の研究の推進方策 |
フーリエ変換との対応を明らかにするため、並列計算可能な実装を外注し、固定した基底においてどのような演算表現が構成されるのかを明らかにしていく。時系列データを大量に生成する方法も模索する。応用分野においては圧縮において効果がそれほど期待できないことが明らかになりつつあるので、データのブラッシュアップなどを中心に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
プロトタイプを作成してその挙動をもとに設計を行い、プログラム作成の見積もりを取ったところ、当初の想定以上の費用と時間がかかることがわかった。年度内の納品検収が難しいため、前倒し支払請求ではなく繰越によって次年度予算と合算してプログラム作成を行うため繰越をした。
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備考 |
国内におけるリカレンスプロットの研究隆盛のため、研究会を立ちあげた。
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