研究課題/領域番号 |
21K12085
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
長坂 一郎 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (10314501)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | デザイン論 / 「動き」 / フローズン・エフェクト |
研究実績の概要 |
本年度は、「課題 2: 「動き」の種類によるデザイン評価の変動の測定」の準備に費やした。まず、工学的設計論の研究者でる者がファッションデザインそのものについての知見を広めるため、ファッションに関連する多くの文献を調査している。その結果、ファッションとは、急速かつ継続的に変化するスタイルを主な特徴とする服装のことであり、ファッションとはある意味で変化する社会的現象であるとされており、まさに「変化」「動き」がファッションデザインの中心課題であることがわかった。また、この「動き」の速度には3種類あり、一つはアンチ・ファッションと呼ばれるもので、アノニマス・デザインのように長い時間をかけて変化していくものである。もう一つが、一般的に「ファッション」と呼ばれるもので、1年から数ヶ月の間に変化するスタイルの集合のことである。そして、最後は、最も「速い」変化であり、これが服の「使用」、すなわち「着る」という行為となる。本研究は、この「使用」という「動き」によるデザイン評価の変動を測定するものであるが、ファッションにおけるデザインを考えるためには、この「動き」よりも遅い2つの変化を考慮することが必要であることがわかってきた。そこで、スタイルの変化と「動き」の変化を総合的に評価する方法を検討しているところである。研究代表者が研究科長となってしまったために、研究は遅れ気味ではあるが、この点について考察が深まったことは、今後の課題の遂行において有効に作用するものと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者が所属する部局の研究科長となり、さらには Covid-19 の影響により研究の進捗は若干の遅れを見せている。研究科長職も3年目となり、若干ゆとりも出てきたため、遅れを挽回しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
今後、引き続き「課題 2: 「動き」の種類によるデザイン評価の変動の測定」を進める。また、上述の通り、スタイルの変化と「動き」の変化を総合的に評価する方法を検討し、具体的な実験方法を考案することを予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者が所属する部局の研究科長となったため、引き続き研究に従事する時間が著しく減少したこと、さらに、 Covid-19 の感染状況によって、海外での成果発表が行えなかったことが次年度使用額が生じた主な理由である。本年度は、Covid-19 の感染が収まれば海外にて成果を発表する機会も訪れるかもしれないが、期待薄である。そのため、本年度も「課題 2: 「動き」の種類によるデザイン評価の変動の測定」を行う費用として繰越金を当てる予定である。ただし、本年度が研究科長の任期の最終年度であるため、今後は研究は加速為手いくものと思われる。
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