研究課題/領域番号 |
21K12086
|
研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
為末 隆弘 山口大学, 情報基盤センター, 准教授 (00390451)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 自覚的耳鳴 / オノマトペ / 再現 / データベース / プラットフォーム |
研究実績の概要 |
本人にしか聞こえない耳鳴は、その性状を正確に把握することが困難であり、個人差も大きいことが知られている。本研究は、自覚的な耳鳴を再現するためのインタラクティブな音合成システムの構築を目的とし、合成音をデータベース化して誰でも利用できる耳鳴プラットフォームの展開を試みようとするものである。これまでの研究をさらに発展させて、耳鳴の再現に有用であると思われるオノマトペの音韻的特徴や音色に関する音響的特徴から、聴覚フィルタを参考にした音響モデルを導入している。音響モデルのパラメータを変化させた場合、どのようなオノマトペを表現できる可能性があるかについて聴覚心理実験を実施して考察している。耳鳴を再現した音とオノマトペの関係を考察するためには、どのような主観的評価をどのような言語表現で行えばよいかについて検討している。耳鳴を表現する手段のひとつであるオノマトペの音韻的・音響的特徴等から、どのような特徴をどのような方法でコントロールできるか、オノマトペや言語表現などの感性情報をどのように用いることができるか等、耳鳴を再現するためのインタラクティブな音合成システムの具備すべき条件等について検討している。ボコーダ等の音声合成技術やシンセサイザ等による効果音の作成方法等を参考にして,直感的に操作できるビジュアルプログラミング言語をベースにした自覚的耳鳴を再現するためのインタラクティブな音合成手法を検討している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
耳鳴とオノマトペの関連性を捉えるための言語表現とそのレベルの候補について検討し、耳鳴に合うようにいくつかの特徴量を感覚的に変化させて音をインタラクティブにコントロールするための方法について検討している。耳鳴を再現するための音合成システムの具備すべき条件について検討している。
|
今後の研究の推進方策 |
インタラクティブな音合成システムに連携した耳鳴プラットフォームの提案・評価を行う計画の立案・実施を予定している。音合成システムに関して、オノマトペより推定した特徴量を利用して再現した耳鳴を候補として提示する方法について検討する。さらに、感性情報をフィードバックすることでインタラクティブに調整・出力を繰り返す機能の可能性や有効性について検討する予定である。再現された耳鳴はクラウドサーバ上に蓄積され再利用できるようプラットフォーム構築を目指したものとなっている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染拡大による活動の制限・自粛が続いたため、参加予定の国内・国外学会が延期・オンライン実施となったことで、参加登録費や旅費等の次年度使用額が生じている。次年度の学会・国際会議の参加登録費や旅費等に使用する予定としている。
|