本人にしか聞こえない耳鳴は、他社がその性状を正確に把握することが困難であり、個人差も大きいことが知られている。本研究は、自覚的な耳鳴を再現するためのインタラクティブな音合成システムの構築を目的とし、耳鳴を模擬・再現した合成音をデータベース化して誰でも利用できる耳鳴プラットフォームの展開を試みようとするものである。これまでの研究をさらに発展させて、耳鳴の再現に有用であると思われるオノマトペの音韻的特徴や音色に関する音響的特徴から、聴覚フィルタを参考にした音響モデルを導入した。音響モデルのパラメータを変化させた場合、どのようなオノマトペを表現できる可能性があるかについて聴覚心理実験を実施して考察した。耳鳴を再現した音とオノマトペの関係を考察するためには、どのような主観的評価をどのような言語表現で行えばよいかについて検討した。耳鳴を表現する手段のひとつであるオノマトペの音韻的・音響的特徴等から、どのような特徴をどのような方法でコントロールできるか、オノマトペや言語表現などの感性情報をどのように用いることができるか等、耳鳴を再現するためのインタラクティブな音合成システムの具備すべき条件等について検討した。ボコーダ等の音声合成技術やシンセサイザ等による効果音の作成方法等を参考にして,直感的に操作できるビジュアルプログラミング言語をベースにした自覚的耳鳴を再現するためのインタラクティブな音合成手法を検討した。
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