研究課題/領域番号 |
21K12090
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
柴田 滝也 東京電機大学, システムデザイン工学部, 教授 (30349807)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | メタ行動分析・モデル化 / AR SNS / ARグラス / エッジAI / デジタルツイン環境場 |
研究実績の概要 |
オブジェクトや情報が偶発的な行動を引き起こすと仮定し、低次の行動(人間情報)や情報(メディア情報)に限定し、誘因される偶発的な行動を高次メタ行動の一種としてナッジ行動と定義し、分析・検証を行う。 2023年度では(1)2022年度に構築した行動特性計測システム(日本建築学会技術報告集掲載)を用いて、①ビーズクッション設置時の「認識場(移動場)」と「行動場(参加場)」の人間行動時系列分析、②各場の人間行動領域分析を行った。結果、2つの場において滞留する位置を測定すれば、認識場と行動場が予測可能性を確認した。(2)ロケーションベースで各種情報を記述可能なAR SNS(Geo Connect ARシステム,AR黒板)を構築し、人間行動の類型化を行った。(3)Geo Connect ARのバックエンドシステムと行動特性計測システムを連携させ、リアルタイムに結果を伝送可能なエッジAIシステムを構築した。今後、Geo Connect ARバックエンドシステムで情報を変更し、人流や滞留などの行動変容を検証することが可能になった。これらの成果は日本感性工学会春季大会で発表した。 ARグラス導入時の利用者の影響を分析するために、Hololensを用いて、遠隔地にいる人物の共在感向上手法を開発した。初対面の人同士だと共在感が向上する一方、親近度が高い人同士だと共在感が変化しない結果となった(日本感性工学会論文誌掲載)。 スマートフォンやARグラスを用いてGeo Connect ARを導入時に(1)「認識場」と「行動場」の二層行動場の分析を行い、二層間のメタ行動の壁(障壁)を含む二層行動モデルと(2)AR情報認知がなされない「導入時」から、人間行動から認知される「定着時」へのメタ行動時系列モデルを構築する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度に構築した人間の関節情報を取得可能なOpenPoseを用いた実時間の歩行人数、歩行者軌跡を取得する行動計測システムを実環境に設置し、実験を行い、精度高くデータ化が可能であることを確認した。さらにNVIDIA社製のJetsonデバイスを導入し、リアルタイムに同計測が可能であることを確認し、予定通りエッジAIシステムを構築した。 2023年度は屋外で各種情報を記述可能なAR SNS(Geo Connect ARシステム)を構築し、位置精度が高いロケーションベースの仕組みを新たに構築できた。さらに、Map上にメッセージがおかれた場所の提示、利用者の歩行軌跡、上記のエッジAIで取得したデータをリアルタイムに伝送されるバックエンドシステムを構築した。 これらのシステムはすべて評価実験を行い、精度が保証されている点など実用化に向けて開発が進んだ。 ARグラス導入時において利用者側の属性によって、情報の質が変わることも確認した。 ARグラスあるいはスマートフォンによるGeo Connect ARシステム導入時の人間行動分析を行うための実験が行われいないため、2024年度に実証実験を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、スマートフォンやARグラスを用いてGeo Connect ARを導入時に(1)「認識場」と「行動場」の二層行動場の分析を行い、二層間のメタ行動の壁(障壁)を含む二層行動モデルと(2)AR情報が認知がなされない「導入時」から、人間行動から認知される「定着時」へのメタ行動時系列モデルを構築する。AR技術導入時と通常時の人間行動との相違を分析することで、AR技術普及に貢献したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
ARグラスやスマートフォンを用いた実験を行い、AR情報アクセス時の「認識場」と「行動場」のメタ行動分析・モデル化を行う。 ARグラス(Apple Vision Proなど)、スマートフォンを購入し、実験や実験被験者等の事務処理要員を雇用する。
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