研究課題/領域番号 |
21K12091
|
研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
柏崎 尚也 東京電機大学, 理工学部, 教授 (60204385)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 感性情報学 / 群ロボット / 感性情報構造 / 感性的コミュニケーション |
研究実績の概要 |
個性を持つロボットの個性情報のアーキテクチャについて検討を行い,学会で報告した. これは,基本となる個性情報をベクトル型のデータ構造で保持し,各感情に対応する要素およびそれに基づく行動特性を,重み関数を用いた演算により求める構造である. 基本構造を決定するために,デカルトをはじめ古来からの情念論を参考にし,情念(感性)がどのような階層状態にあるのかをまとめた.また,それらがコミュニケーションの対象によって異なった作用をすることもわかり,単純に個性のみからではなくコミュニケーションによる修正要素を取り入れた.また,ロボット間の交信(コミュニケーション)では,それらをさらにコミュニケーションするロボット間の相互係数を用いて伝達し,その後の相互の行動から,自己の重み関数,または個性情報ベクトルをアジャストする機構とした. 上記のモデルに基づいて基本的な行動要素に絞った実験をKilobot を用いて行った.その結果,個性をもつロボット集団の方が与えられたミッションの遂行に良好な結果をもたらすことが多いことがわかった.Kilobotでは同時に複数の個体同士でコミュニケーションをとることができるが,本実験では近接距離にある者同士でのコミュニケーションであったため,包括的な結果を得るためにはさらに改善が必要である. 画像処理による相互認識を取り入れた個性的な相互コミュニケーションの実験のために実機の設計および,効率的な機械学習のアルゴリズムの検討を行った.その結果,機械学習において相補的なデータを自動生成し,学習制度を高める手法を開発することができた.製作するロボットに個性的な特徴を持たせれば,行動を十分に認識できるようになることが示唆された.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験用群ロボットの試作は遅れ気味であるが,kilobotを用いた群行動に感性情報のアルゴリズムを搭載することに成功している. 感性情報の構造体とそこから導く行動パターンを解析する方法について検討を進めている.
|
今後の研究の推進方策 |
kilobotを用いた群行動の動作解析方法を確立させ,個々のKilobotに感性情報データと重み係数情報を持たせた実験を行なっていく. 実機による実験では,外乱(行動範囲内の異物や駆動機構の不具合)が行動結果に大きく影響するが,また一方で感性的で個性的な行動は外乱による部分も多い. 外乱要素の評価方法について併せて検討を行う必要があることがわかった.
|
次年度使用額が生じた理由 |
発注していたAI系ロボット搭載マイコンが,国際情勢の影響のため年度末に納入不可となったため。また,代替品に変更する余裕もなかったために次年度繰越となった。再度,研究の方向性を検討し直す予定である。
|