人間社会のような個性を持った個からなるロボット集団が協調的に作業できれば,問題に対する対応範囲が広がり結果的に効率的な作業が期待できる.「個」には性能や機能の違いも含まれるが,嗜好や性格のようないわゆる感性的な要素も含まれる.後者は,能動的な動作と意外性を持つ問題解決動作には不可欠であり,個性を持ったロボット集団に期待するものは後者ではないかと考えられる.筆者は作業効率以前に「性格のような個」のデータ表現とコミュニケーションに注目した.これまで,個体差(個性)をもった群ロボットの制御について,個性のためのデータ構造として深層感性データ構造,コミュニケーション方法についてメッシュネットによる部分的情報共有と協調的ゲーム理論について検討してきた.その結果,深層感性データ構造を一次元の配列要素とし,重み関数をキーとする因子要素としての表層感性データ構造をモデル化してきた(図1).表層感性データ構造は,「この個体は,この点においてこのような性質をもっている」と記述できる構造体である.実際の行動(評価)は,外部刺激が表層感性データ構造に与える結果として表現される.外部刺激とは課題,環境,コミュニケーションの協調・障害などを想定している.このように,ある状態において外的な刺激によって個性を表現できるデータ構造とロボットへの簡易的な実装を研究してきた. 本研究では,これをもとに群ロボットを構成する各ロボットに個性的な因子を加える方法について演繹的なデータ構造を提案し,実機による予備的な実験を行なって検証した.
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