今後の研究の推進方策 |
今年度は,第1種の誤りを低減させるために,増減係数の評価を精緻にするとともに視線移動速度と移動距離を組み入れて行動価値関数を評価した.その結果,第2種の誤りを昨年度と同レベルに保ったままで第1種の誤りを大幅に低下させることができた.このとき,視線移動速度と移動距離をそれぞれの視線停留の頻度が均等になるようにして3水準(S, M, L)に分類した.従って,行動価値関数の表は総計9個になる.しかし,視線移動速度と移動距離には正の強い相関が見られ,収集した視線停留には強い偏りが生じた.実際,移動速度と移動距離の水準の組み合わせが対角線になる場合 (i.e., (S, S), (M, M), (L, L)) を除くと視線停留は殆ど生じなかった.然るに,Web閲覧の頻度を実験室レベルから生活レベルまで引き上げれば対角線以外でも視線停留が起こり得るため,対角線以外の組み合わせでの行動価値関数の評価が必要である.そこで,被験者に複数回(少なくとも3回以上)実験刺激のWebサイトを閲覧させて大規模な視線停留のサンプルを収集する予定である.また,視線移動速度と移動距離を細かく分割するといずれかの組み合わせで視線停留のサンプルが得られなくなる恐れがある.そこで,視線移動速度と移動距離を連続量として扱うDeep Q-Networkの構築についても検討する予定である.すなわち,視線停留時間を逐次的に時間発展させた上で視線移動速度と移動距離の観測値を説明変数として用いニューラルネットワークに文字識別困難の発生を予測させる.
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