研究課題/領域番号 |
21K12101
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
片平 建史 早稲田大学, 文学学術院, 准教授 (40642129)
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研究分担者 |
飛谷 謙介 長崎県立大学, 情報システム学部, 准教授 (50597333)
川上 愛 早稲田大学, 文学学術院, その他(招聘研究員) (70722007)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 立毛 / 鳥肌 / 随意的立毛 / 脳機能計測 |
研究実績の概要 |
2021年度は、当初計画における【研究項目①:VGP能力保持者の選定】を実施するとともに、【研究項目②:VGPの脳機能計測による精神性立毛の神経基盤の解明】を実施するための予備的な検討と環境構築を行った。 【研究項目①:VGP能力保持者の選定】については、随意的に立毛を生起できる能力(Voluntary generated piloerection: VGP)を有した個人を特定するためのweb調査を実施するとともに、web調査で特定された個人のVGP能力を検証するため郵送調査を実施した。2021年度は自薦による募集を行い、新規に3名のVGP候補者を特定した。また、郵送調査では鳥肌の計測機材を2020年度以前に特定したVGP候補者も含めて送付し、VGP能力が定量的に確認された11名のVGP保持者を特定した。これらのVGP保持者の協力は【研究項目②:VGPの脳機能計測による精神性立毛の神経基盤の解明】を実施する上で不可欠であり、最終的には40名程度のVGP保持者で構成される実験参加者プールを確保する予定である。2021年度終了時点で、従来特定を進めていた10名前後のVGP保持者と合わせて20名程度のVGP保持者の協力が見込める状況であり、実験参加者の募集状況は順調である。 【研究項目②:VGPの脳機能計測による精神性立毛の神経基盤の解明】については、新型コロナの拡大状況下において実験参加者を対象とした研究の遂行に大きな制約があり、実質的な研究を実施することが困難であった。そこで、脳機能計測と並行して実施するfMRI計測環境下における立毛の客観的計測環境の整備を中心とした活動を行った。具体的には、生理学研究所で保有する高磁場対応カメラの現場適応を行い、磁場ノイズの影響の少ない立毛画像の撮影に成功した。この成果により、2022年度以降の脳機能計測実験では立毛の高精度な計測が可能となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
【研究項目①:VGP能力保持者の選定】については、2021年度の終了段階において、研究で予定する実験参加者の約半数にあたる、20名のVGP保持者を特定済みである。2022年度以降に実施する脳機能計測実験のための実験参加者の確保状況は良好であり、引き続きVGP保持者の探索を継続する。 【研究項目②:VGPの脳機能計測による精神性立毛の神経基盤の解明】については、新型コロナウィルスの感染状況悪化により実験参加者を対象とした脳機能計測は実施できなかったものの、計測環境の整備を通じて環境の高度化を実現した。これにより、研究全体で取得するデータの質の向上が期待され、最終的な研究成果の充実に寄与する研究体制を構築できた。 以上を総合して当該年度における研究の進捗状況を判断すると、当初の研究計画のうちデータの取得については十分な進展が得られなかったものの、研究全体としてはおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度以降の研究では、本研究課題の根幹をなす【研究項目②:VGPの脳機能計測による精神性立毛の神経基盤の解明】の実施を進める。2021年度の研究により、fMRI環境下の立毛計測系の構築が完了している。2022年度は随意的な自律機能の制御に関する脳機能計測を行った先行研究を参考に、脳機能画像の撮像デザインの最適化を行い、2021年度までに特定したVGP保持者を実験参加者としたデータの取得を完了する。 また、【研究項目①:VGP能力保持者の選定】を引き続き実施し、2023年度以降の脳機能計測実験のための実験参加者の確保を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画では、fMRI計測時の鳥肌の客観的計測に用いるMRコンパチブルカメラを当該年度に導入する予定であった。しかし、新型コロナウィルス感染状況の拡大により実験参加者を招いての脳機能計測実験が実施できなかったことから、2021年度はこれまでに準備を進めてきた実験環境の精緻化と実験参加者プールの拡充に活動の主眼を起き、当該機器の導入は見送ることとしたため、次年度使用額として計上した。 次年度以降の使用計画としては、必要な段階でMRコンパチブルカメラを購入する費用として用いる。機材のレンタルなどより安価な導入方法が判明した場合には、研究費の合理的な活用の観点から購入計画の変更も念頭に置く。その場合、研究目的により適合した実験参加者の探索や、複数回の脳機能計測実験など研究の精緻化のための費用に充当する。
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