研究課題/領域番号 |
21K12103
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
川上 勝 山形大学, 有機材料システムフロンティアセンター, 准教授 (70452117)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 3Dプリンター / ハイドロゲル / 臓器モデル |
研究実績の概要 |
臓器用3Dプリンタの光源部分の選定を行った。安価な部品で、UV樹脂の硬化に必要な紫外光が照射できることを確認した。また可視光の光源を用いることで、数ワットという強力な光照射ユニットが安価で換装可能であることを確認した。また改造を前提として、現在市販されている安価な3Dプリンタの選定を行い、本方式のプリンタはゲル溶液の液面を照射する機構を導入していることから、プラットフォームが稼働するタイプのプリンタは溶液のタンクが揺れてしまうために不適であり、ノズル部がXY方向に動く、高い剛性を持った筐体で構成されたプリンタが適していることを確認した。 また臓器モデルの材料となるハイドロゲルについて、ジメチルアクリルアミドを主とするハイドロゲルの調整を行った。造形後に純水に浸漬することでモデルを膨潤させ、造形直後よりもはるかに形状を大きくさせることで、大きなモデルの印刷時間の短縮を図ったが、体積と表面積の比が小さいモデル、つまりずんぐりとした形状のモデルは、水の浸漬が極端に遅くなってしまうため、実用になる臓器モデルの材料としては不適であることを確認した。一方で血管部のような表面積が大きなモデルに関しては、素早く膨潤が進むことを見出した。一方で熱による凝集を起こすゲルの探索に関しては、デンプン、寒天、ゼラチンをベースとするハイドロゲルの凝集能を観察した。これらの濃厚溶液のUV光の吸収は高くなく、光吸収材料が必要であることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ベースとなる3Dプリンタの機種選定が進み、UVLEDの光源の開発と可視光の光源の開発も進められている。臓器モデルの材料となるハイドロゲルの選定や、凝固作用を持ったゲル材料の選定も進められている。一方でUV硬化ではなく、可視光によるゲルの吸熱反応による糊化(透明化)および過剰熱によるゲルの白濁化を起こす材料の選定が進んでいないので、これらを進める必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
安価な市販のプリンタを購入し、ノズル部分をレーザー、UVLEDの光源と交換する。アクリルアミド系のUV硬化型ハイドロゲル溶液を用いた造形テストを行う。光を吸収して熱に変換し、ゲルの硬化、透明化、さらに熱を加えた際の凝固、白濁化を起こす材料の選定を行う。具体的には、黄色系の染料、またUV光を熱に変換する吸収剤を購入し、UV光や強い可視光での発熱の程度を測定する。また加熱による糊化、透明化を起こす澱粉溶液の開発を行う。澱粉は水に分散させるだけではすぐに沈殿を起こすので、溶液の粘度を挙げて沈殿速度を低下させるなどの工夫を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度までに、3Dプリンタの本体、光源部品の選定は進んでいるが、実際の実装には至らなかったため、これに要する費用が発生せず、次年度使用額が生じた。 2022年度にベースとなる3Dプリンタの購入、光源の開発と組み込みを行うことで、研究費の執行を行う予定である。
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