研究課題
令和4年度の研究では、UVレーザーの照射により溶液を加熱し、澱粉の糊化を利用した3D造形を試みた。使用したUVの波長(405nm)では、澱粉溶液が光を吸収しないため、黄色系の食用色素などを添加する必要が有ることが分かった。また糊化された部分も、透明度に欠け、臓器モデルの透視の機能を持つことが困難であることが分かったため、デンプンでは無い凝固因子を検討した。具体的には、多糖の一種であるカードランを用いて、レーザー加熱による凝固反応を用いた造形を試した。その結果、熱による凝固は確認されたが、デンプンと同様に、UVレーザーでは効果的に温度上昇を起こすことが困難であり、色素の添加が必要であった。また造形されたゲルの強度が低く、透明度も劣るため、3D造形の材料としては適していないことを確認した。そのため、造形原理として熱による凝固では無く、UV光による光架橋反応を利用したゲルの造形を検討した。アクリルアミド系のハイドロゲルを用いて、UVによる造形を行い、その後に白く白濁させたい部分には、別途加熱のみを目的とした照射光を当てる方式をとる方式を検討した。そのため、3Dプリンタは、光架橋を起こすためのUV光照射光源と、材料を加熱できる、可視光域の波長を持った光源を備えた構成となる。基礎となる3Dプリンタ筐体は、ステージが動く方式では無く、ノズル部がXY方向に走査する方式が適していると判明したたため、令和4年度では、「coreXY」と呼ばれる方式のプリンタを導入し、この制御基板を、2波長の光源を制御可能な方式に変換し、実際に稼働する2波長ゲル3Dプリンタを試作した。造形されるゲルの造形精度についても調査した。臓器によくみられる管状のモデルを造形し、その管の肉厚と内径が、どの程度まで小さなものが製作できるかを調べたところ、肉厚1mm、内径2mmの管状モデルの造形が可能であることを確認した。
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巻: 11 ページ: 103-117
10.3390/machines11010103