【自動穿刺システムの開発】昨年度から引き続き、4軸(xyzθ)の自動ステージを用いて、針の自動穿刺システムの開発を行った。本システムは、カメラ画像からリアルタイムに血管を検出し、針穿刺位置の決定、針の移動、穿刺までを自動で行う。今年度は、自動採血実験と自動採血システムの改良を繰り返すことで、システムの完成度を向上させた。その結果、人間の上腕に対して模擬針(人体を損傷させない柔らかいフィラメント)を自動で押し付ける実験を行い、尺側皮静脈の直上の皮膚に針先端を自動で導くことに成功した。また、穿刺実験対象として模擬血管を内包した人工皮膚を作製した。この人工皮膚においては、模擬血管内に模擬血液を循環させることが可能になっている。この人工皮膚を用いた自動採血実験において、ランダムに位置を変更した人工皮膚に対して高い確率で模擬血液を吸引することに成功した。 【低侵襲性微細針の開発と自動穿刺システムへの応用】穿刺時に痛みを感じにくい微細針を開発した。これらの針は蚊の針にヒントを得て開発した。また、針の材料としては生分解性樹脂であるポリ乳酸を採用した。これらの針の直径は0.09mm~0.20mmの範囲であり、用途に合わせて最適な直径の針を選択可能である。同時に、ナノインプリント法または射出成型法により微細針を量産する技術も開発した。さらに、開発した微細針を自動採血装置に搭載し、より細い模擬血管から血液を採取することにも成功した。 【周辺技術開発】自動採血システムの将来的な発展を目指し、動採血箇所周辺皮膚を非侵襲で固定する技術として、下記技術の開発を行った。(1)モリアオガエルの指先を模倣した微細パターンを施すことにより、スポンジ表面の摩擦係数を高めることに成功した。(2)皮膚を固定する器具と皮膚の滑りを検出するセンサを開発した。
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