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2021 年度 実施状況報告書

細胞の代謝調節制御機構を組み込んだ大規模代謝モデルの開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K12118
研究機関国立研究開発法人水産研究・教育機構

研究代表者

松岡 結  国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産大学校, 助教 (30615779)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード代謝モデル / コンピュータシミュレーション / 代謝制御 / 中心代謝径路 / アミノ酸合成径路 / フィードバック制御 / 大腸菌 / システム生物学
研究実績の概要

細胞は、中心代謝径路によって、様々な炭素源を分解してエネルギーを獲得し、細胞合成に必要な前駆体を生成する(カタボリズム)。それと同時に、アミノ酸合成、脂肪酸合成、核酸合成径路などの生合成径路によって、その構成成分を生成している(アナボリズム)。申請者らは、これまでに、中心代謝径路について、代謝調節制御を組み込んだ動力学モデルを構築している。
申請者らがこれまでに構築した中心代謝径路の動力学モデルを、生合成径路であるアミノ酸合成径路まで拡張するため、アミノ酸合成径路における遺伝子レベルの制御や、酵素レベルの制御について調査し、本モデリングに必要な制御機構を解析した。特に、フィードバック制御やフィードフォワード制御、転写活性化因子が代謝径路遺伝子に与える影響に着目し、アミノ酸合成径路の調節制御機構を明らかにした。さらに、アミノ酸合成径路と中心代謝径路が協調して働く必要があり、このために、両者のインターフェースとなるαケト酸(αケトグルタル酸、オキサロ酢酸、ピルビン酸など)の濃度レベルが重要であることも分かった。例えば、αケト酸の一つであるαケトグルタル酸は、転写活性化因子であるcAMP-Crpやグルコースの取り込み反応(PTS)をフィードバック制御することによって、代謝システム全体のロバストネスに貢献していることが分かってきた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでに開発している中心代謝径路のモデルに、アミノ酸合成径路を加えて、生合成径路を組み込んだ大規模代謝モデルの構築を最終目標にしているが、今年度は、スレオニンなどの一部のアミノ酸合成径路のモデル化を行った。また、本モデルの構築に必要な代謝調節制御機構の解析を行い、細胞全体の代謝特性を明らかにするなど、大規模代謝モデルの検証に必要な解析を行った。

今後の研究の推進方策

様々なアミノ酸合成径路を含んだ、生合成径路のモデル化を行い、細胞全体の大規模代謝モデルを構築する。過去に発表された論文から、本モデリングに必要な制御機構を有している生合成径路の酵素反応速度式を収集する。そのような酵素反応速度式が得られない場合は、同じように調節制御されている他の酵素の反応速度式を参考にモデル化する。とりわけ、中心代謝径路とアミノ酸合成径路における、遺伝子レベルや酵素レベルでのフィードフォワード制御やフィードバック制御機構によって、どのように細胞のロバストネスが保たれているのかを、コンピュータシミュレーションで明らかにしていく。その後、実験データを用いて、モデルの検証を行う。

次年度使用額が生じた理由

当該年度の備品(コンピュータ)の納入が遅れ、関連する消耗品の使用が予定より少なくなってしまった。このため、翌年度分として請求している助成金に合わせて、PC周辺機器等の消耗品の購入に使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Feedback regulation and coordination of the main metabolism for bacterial growth and metabolic engineering for amino acid fermentation2022

    • 著者名/発表者名
      Kazuyuki Shimizu, Yu Matsuoka
    • 雑誌名

      Biotechnology Advances

      巻: 55 ページ: -

    • DOI

      10.1016/j.biotechadv.2021.107887

    • 査読あり

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公開日: 2022-12-28  

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