研究課題/領域番号 |
21K12123
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
渡辺 信一 電気通信大学, 国際教育センター, 特任教授 (60210902)
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研究分担者 |
瀧 真清 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (70362952)
山越 智健 電気通信大学, レーザー新世代研究センター, 研究員 (30801245) [辞退]
宮下 尚之 近畿大学, 生物理工学部, 准教授 (20452162)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | DNA aptamer / TBA/thrombin / DNA・コバレント・アプタマーTBDcA |
研究実績の概要 |
本研究は、血液凝固機能を阻害するDNAアプタマーのTBAをもとにヌクレアーゼ耐性を調べ、耐性の強化を図ることが目的である。一方、昨年度瀧がTBAにwarheadを付けthrombinと共有結合するDNA・コバレント・アプタマー(TBDcA)を実験的に作製し、その各種ヌクレアーゼ耐性機構を検討し、有意な結果を得ている。これは目的とするTBA/thrombinの組み合わせの分子系において血液凝固機能が予定通りに阻害されること、そしてその耐性の強化が可能であることを示しており、査読付き原著論文発表を行った。具体的には、各種exonuclease, endonuclease, およびヒト血清存在下でのTBDcAの加水分解耐性試験等を行った結果、いずれの場合においても標的への共有結合後に分解耐性を獲得していた。特に40%ヒト血清存在下で、37℃/24時間のインキュベート後においても分解されずに残ることを見出した。宮下はこのDNA・コバレント・アプタマーにおける共有結合部(warhead)の化学構造や長さなどがどのように結合部位や結合力の特性に影響を与えるかを数値計算により理論的に明らかにする研究を開始した。また、渡辺はアノマー型TBAの安定性のMD計算を試みているが、synとantiの配置の区別が実験的になされていないため実験に対応する初期条件を確定できない困難に直面している。しかし、TBAの融点について理論と実験を比較することは物性研究的視点から意義があるので、継続中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
基本的に当初のTBA/thrombinに関する研究を遂行しており、実験面では本来の目的であるアノマー化によるTBAの核酸耐性の強化を中分子型コバレントバインダーによる強化へと変更し、当初の想定よりも有為な知見を得、原著論文発表に至っている。そして計算によって実験の理論的理解を深めていることから上記区分とした。
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今後の研究の推進方策 |
中分子型コバレントバインダーの実験的成果を受けて引き続き、非天然核酸型TBDcA薬剤のコンビナトリアルスクリーニング法を行うための実験対象系の立ち上げを行うと共に、適宜並行して、合理的設計法を用いてthrombin以外の蛋白質を標的として特異的に共有結合するアプタマーを取得する。理論計算は実験的に検証しがたい部分についてのデータを生成できることから、実験と平行して実施する。そのため近畿大学の宮下はTBAを用いた共有結合型アプタマーの力場作成を行い、そのシミュレーションを実施する。また、AIを用いたモーフィングを用いてTBAのフォールディング過程についても調べ、その特性についても調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度末に山越が退任したことで計算機数台が渡辺に移管された。これによって渡辺が管理する計算資源が強化されたことと設置場所の関係で、2022年度中の新計算機の購入は延期することとなった。2023年度に比較的小さな計算機を購入する予定である。
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