研究成果の概要 |
糖鎖は, 生命現象における鍵となる分子で, 様々な生体の状態における糖鎖の種類と量を分析することは, 疾患や老化などの生命イベントを知るうえで不可欠な情報である. 糖鎖の分析は質量分析計を用いる. そのデータ解析は従来手動で, ひどい場合には何週間もかかる場合があった. 本課題では, インフォマティクスの支援によってデータ解析をおおむね自動化し, 「分」の単位で解析可能なツールを整えた. また実施途中で, 名古屋大学のヒューマングライコームアトラスプロジェクトに資する事になり, 大規模な集団の糖鎖解析に対応可能なようにプログラムを変更し, これらを実現するためのプロトタイプを構築した.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は, これまで膨大な手間と時間を要した糖鎖解析のデータ処理を, きわめて短時間に処理することを可能とした. これによって,これまでのゲノム, トランスクリプトーム, プロテオームに加えて現実的に糖鎖, グライコームを加えた疾患機序解明のサイエンスを展開することが現実的となった. 遺伝子, そこから生じるタンパク質の機能だけでなくタンパク質に付与される糖鎖についての知見を得ることが容易になる. つまり, 生命分子全体として統合的に生命現象解明の本当のスタート地点に立てる事になる.
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