研究実績の概要 |
本研究の目的は,共通の顧客IDを持つ店舗内回遊履歴データと購買履歴データを併合した統合化購買行動履歴データを用いて,顧客の店舗内での回遊行動と購買行動の関係を統合的にモデル化し,顧客の店舗内での消費者行動を明らかにすることである.前年度は,特に店舗内回遊データの補完・修正アルゴリズムを改善し,マルチエージェントシミュレーションの結果を実データと比較して,十分な精度に近づけることに注力した研究を行っていた.今年度は,前年度の研究成果を踏まえ,購買行動モデルのアルゴリズム改善に焦点をあてて,研究を行った.具体的には,店舗内での商品エリアの滞在時間と当該エリアへの侵入のタイミングを説明変数として,購買確率を予測するモデルを構築し,このモデルに従って購買を行うエージェントを用いたマルチエージェントシミュレーションを行った.精度の評価においても,以前のシンプルなモデルと比較して,十分な評価値の改善を達成した.これらの研究成果としては,以下に記載の業績を含め,国内雑誌への論文として1件,国内学会での研究報告を2件,国際会議での報告を1件行った. ・後藤 裕介, 市川 尚, 白井 康之, 森田 裕之,“社会政策立案のためのエージェントベース社会シミュレーションにおける深い不確実性分析”,計測と制御,62(1) ,pp.21-26, 2023 ・名越 翔, 森田 裕之, 白井 康之,“店舗内エリアの滞在時間に着目した購買行動シミュレーションモデル”, 第31回計測自動制御学会 社会システム部会研究会,2023年3月 ・名越 翔, 森田 裕之, ”小売店舗内における顧客の滞在行動と購買行動に関する研究”, 経営情報学会 全国研究発表大会要旨集, pp.77-80, 2022年11月
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