研究課題/領域番号 |
21K12157
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研究機関 | 福岡教育大学 |
研究代表者 |
藤本 光史 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (20270241)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ユーザインタフェース / Webアプリケーション / 手書き図形入力 / 数学ソフトウェア / GeoGebra |
研究実績の概要 |
本研究では既存の手書き数式インタフェースを応用して、授業者と学習者が共に活用できる図形・命題の手書き入力インタフェースを作成すると共に、図形の証明問題学習に対応した教育支援システムを実現することを目指している。令和3年度は図形の手書き入力インタフェースの開発と命題の真偽判定機能で用いる数式処理エンジンに関する研究を推進した。 手書き入力インタフェースのプラットフォームとしてWebを採用し、図形入力部には動的幾何ソフトウェアのGeoGebraを利用した。ユーザインタフェース作成のためのJavaScriptライブラリであるReactを用いてGeoGebraをWebコンポーネントとして組み込み、Webブラウザ上で図形を入力できるようにした。GeoGebraには入力された図形の状態を調べたり変形したりするためのAPIが提供されており、それを活用して図形認識部の実装を行った。また、C言語やC++言語で実装された数学ソフトウェアをWebAssemblyを用いてWebアプリ化する手法について研究し、多倍長整数を係数に持つ多項式の加減乗算を行うWebアプリを作成した。多倍長整数の演算にはC言語ライブラリのGMPを、計算結果のグラフィカル表示にはJavaScriptライブラリのMathJaxを用いた。 この成果の一部は、統計数理研究所の研究集会「動的幾何学ソフトウェアGeoGebraの整備と普及」、九州大学マス・フォア・インダストリ研究所の研究集会「数式処理研究と産学連携の新たな発展」、およびRisa/Asir Conference 2022で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
手書きを活かした初等幾何教育支援システムの実現に必要な数学インタフェースの研究を推進し、上記「研究実績の概要」で記述した結果を得た。そして、研究論文を1篇出版し、研究集会で3件の研究発表を行った。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は昨年度に引き続き図形の手書き入力インタフェースの研究を行う。特に次の2点に注力して研究を進める。 1.【補助記号を利用した手書き図形認識アルゴリズムの開発と実装】既存の手書き図形認識アルゴリズムを拡張して「等辺」や「等角」などの補助記号を認識できるようにし、電子黒板やタブレットで手書き入力した図形を自動補正するアルゴリズムを開発・実装する。 2.【図形情報の抽出手法の研究】既に開発済みの手書き数式インタフェースは任意の位置に手書き入力した文字と数式を認識できる。この手法を応用して、図形に書き加えた手書きの頂点記号や数式を認識し、図形情報の関係式として抽出する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、参加を予定していた学会や研究集会がオンライン開催となったことが次年度使用額が生じた主な理由である。 助成金は、初等幾何教育支援システム開発用ノートパソコン(30万円)、検証用タブレット端末3台(30万円)、プリンタトナーやDVD-Rなどの消耗品10万円、ユーザインタフェース関連図書10万円、数学関連図書(数学教育・幾何教育・定理証明支援系)10万円、研究打合せ及び成果発表のための旅費60万円として使用する予定である。
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