本課題では,ディジタル回路を遠隔で学習・演習する際の効果を高めるための,「さわれる」遠隔学習システム SawareruSys を提案した.ディジタル回路や FPGA の学習におけるこれまでの遠隔学習システムには,その操作から実際にハードウェアに触れているとの実感を得ることが難しい,という問題点が存在した.提案したシステムでは,安価なコントローラボードを用いて,遠隔環境の演習ボードを操作する.これにより,実地で演習ボードを直接操作する時と同じ感覚で,かつ高価な演習ボードを個人に貸し出すことなく,回路を動作確認できるようにする.本課題の目的は,そのプロトタイプを実験・実習科目に利用することで,実地での演習・実験と同等の学習効果が提案システムで得られることを明らかにすることである. 令和5年度は,前年度までに構築された遠隔学習システムのプロトタイプを実際に実験・実習科目に利用することで,プロトタイプの評価を行った.システムを利用した学生は,実験室の開室時間外にも実験を継続できるようになった.その一方で,遠隔環境に接続するためのセットアップの手順を簡略化し,最初に使い始めるまでのコストを削減することが今後の課題として残された. 作成したプロトタイプにかかる成果は査読付国際会議での発表を行った.また,提案したシステムはオープンソースハードウェアとして,その設計およびソースコードを GitHub で公開しており,近い将来システムの一般利用も可能となる予定である.
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