研究課題/領域番号 |
21K12165
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
高田 秀志 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (30378830)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | プログラミングワークショップ / 体験共有 / 特徴抽出 |
研究実績の概要 |
小学生を主な対象としたプログラミングワークショップにおいて、体験共有を行えるようなシステムの構築に必要な要素技術の開発と、その応用事例について検討を行っている。本研究では、ワークショップ中に録画したPCの画面や参加者の仕草などから、振り返りや体験共有に有用な場面を抜き出し、短時間の動画として生成できるようにすることを目指している。今年度は、PCの画面録画からワークショップの体験共有や振り返りに有用な場面を抽出する方法として、深層学習により画像認識を行う学習済みモデルを用いて、構成されているニューラルネットワークの中間層からの出力を画像の特徴量として用いる方法について、その有効性の検証を行った。その結果、すでに実現していたOpenCVによる特徴点抽出を用いる方法と比較して、設定すべきパラメータの数は減るものの、個々のパラメータをどのように設定するべきかについては試行錯誤に頼るしか無く、これまでに収集したPC画面の録画データを元に、さらに検証が必要なことが分かった。 加えて、実際のプログラミングワークショップを開催するに当たり、子どもたちの創造性をさらに引き出すことができるような方策について検討を行い、過去に構築された作品をキーワードによって検索し、閲覧することができるようなシステムを構築した上で、実際のワークショップで活用した。また、コロナ禍を経て認識が高まっている遠隔ワークショップを実現するための協調作業関連の基礎的な検討や、タブレット端末を用いた学習支援システムの構築を行った。これらの成果は、国内学会において発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
プログラミングによる作品の創作過程を収録したPC画面から重要な場面を抽出する手法については、パラメータ設定の決定方法や冗長な場面が含まれる場合があるなどの問題があるものの、一般の人が見て有益な体験共有ができるレベルには達していると判断している。2023年度は、コロナ禍において存在していた様々な制約から開放され、NPO法人と協力して月2回程度の割合でワークショップを開催し、参加している子どもたちの様子を画像と音声で記録することができた。前年度まではマスクを着用していたため、体験共有に有用な場面を参加者の表情などから抽出する手法の開発に着手できていなかったが、PC画面だけではなく、ワークショップ中の様子も扱うための準備が整っている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、成果発表を主な目的として期間を一年延長することとした。コロナ禍において本来の形式でプログラミングワークショップを開催できていなかったため、ワークショップ中の様子などのデータ取得を十分に行うことができなかったが、2023年度にはほぼ通常通りにワークショップを開催できたため、収集されたデータを用いて本格的な体験共有動画の生成実験を行う。また、研究代表者の所属学部がキャンパス移転を行ったことに伴い、社会連携事業としてプログラミングワークショップを開催する予定にしていることから、本研究の成果を積極的に社会に還元していくことに取り組む。さらに、得られた成果を学会での口頭発表や論文発表につなげていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
過年度においてコロナ禍により海外との往来が制限されていたことや、学会の開催がオンラインであったことなどから、旅費の支出が想定を下回っていた。また、コロナ禍におけるワークショップの開催に制約があり、ワークショップ中の様子などのデータ取得を十分に行うことができなかったため、体験共有動画の生成実験とその検証が遅れていた。2024年度はこれらを取り戻すとともに、海外渡航も含めて成果発表に努める。
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