研究課題/領域番号 |
21K12166
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
田中 一基 近畿大学, 工学部, 教授 (60351657)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | カメラキャリブレーション / 動作認識 / エッジ画像 / AR |
研究実績の概要 |
研究目的は,動作の自動評価技術に基づく体育LMSの実用性を明らかにすることである.このため,実技動作の画像認識技術および到達度を設定する電子ルーブリックによる自動評価技術の確立,および,簡易LMSによる教育支援効果の検証,を3年間で行う.2021年度の目標は,多人数の学習者の同時動作認識技術を開発することである. 同時動作認識は2ステップで行い,最初のステップは,ビデオ映像から実技動作を行っている部分を切り出すステップである.これには,3次元畳み込みのDNNを用いた技術開発に取り組んでいる.2つ目のステップは切り出した部分における動作評価(動作が正しいかどうかを評価)であり,既存のポーズ認識用DNNモデルを,体育の運動種目別に再訓練する.ただし,学習者とカメラの位置関係のバラツキによる認識誤差の問題を解決する必要があり,カメラの自動キャリブレーション技術の開発に取り組んだ.この結果,体育館など室内で行う体育を前提に,室内の床面や壁面のエッジ情報からキャリブレーションを行う手法を開発した. 開発した手法は,床面と壁面の境界のエッジ画像とカメラの位置姿勢との関係を学習したDNNモデルを用いる.CGで大量に自動生成したエッジ画像を学習データセットとして用いる.キャリブレーションは,室内画像から抽出したエッジ画像をモデルに入力して,カメラの位置姿勢を推定する.本手法はAR(Augmented Reality)にも応用できるため,室内画像に仮想物体を重畳する実験を行い,手法を確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
ビデオ映像から実技動作を行っている部分を切り出す技術の開発と,切り出した部分における動作評価技術の開発が遅れている.両方とも既存のDNNモデルを体育の運動種目別に再訓練するアプローチであるが,新型コロナウィルス感染が未だに終息せず,研究代表者が小学校あるいは中学校の体育現場に出向く機会を作りにくい.つまり,小・中学校の生徒の体育動作データ収集が出来ないためである.
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今後の研究の推進方策 |
研究目的は,動作の自動評価技術に基づくLMSの実用性を明らかにすることなので,小・中学校の体育現場での評価の代わりに,研究代表者が所属する大学の研究室学生等で作る模擬的な体育現場での評価とする.したがって,DNNモデルの再訓練用データは,大学生が行う体育動作により収集する.もちろん新型コロナウィルス感染の拡大中は,このような取り組みも困難であるが,小・中学校の現場でデータ収集やシステム評価を行う機会をうかがうよりも,現実的である.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス蔓延のため学会旅費としての使用が無になり,ワークステーションなどの物品費購入を優先したが,当初の予算設定と異なったため差額が生じた.翌年度は当初の請求額にこの差額を加え,学会旅費および人件費に使用する.
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