研究課題/領域番号 |
21K12166
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
田中 一基 近畿大学, 工学部, 教授 (60351657)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 体育 / LMS / 関節認識 / 動作認識 |
研究実績の概要 |
研究目的は体育動作の自動評価技術に基づく体育LMSの実用性を明らかにすることである.2022年度までの取り組みにより自動評価技術のベースとなる動作認識技術に見通しが得られ,2023年度の目標は,LMSの構築とその評価実験を行うことである. 研究計画当初は,教師が体育授業中にタブレット端末で撮影した実技映像を動作認識サーバに送信し,認識結果をタブレット端末が受信する構想であった.ここで動作認識サーバは,深層学習で構築する関節認識モデルに基づく動作認識エンジンを搭載したワークステーションである.しかし,関節認識モデルの軽量化技術が進展し,これにより2023年度に,動作認識エンジンをタブレット端末に搭載することができた.この軽量化モデルは,Googleが提供する深層ニューラルネットワーク(DNN)のフレームワークであるMediaPipe(Pose Landmark Detection)をベースとしているが,MediaPipeは被計測者の腰を原点とするローカル座標系で関節座標を認識するため,3次元移動を伴う動作の認識ができない欠点がある.そこで本研究では,カメラキャリブレーションの数理を応用し,ローカル座標からカメラ座標(=世界座標)を推定する手法を開発した.本手法は,推定精度は高くはないがタブレット端末で体育動作を評価するためのアプローチの一つとなり得るものであり,英文論文誌に掲載された. 動作認識エンジンが体育動作を認識した結果と,体育教師が指定した動作のパラメータ値(動作速度,関節の角度など)とを自動比較・評価するLMSをタブレット端末上に構築し,体育教師と硬式野球部コーチに試用結果に関するアンケート調査を行った.対象の体育動作は筋肉トレーニング(スクワット)である.この結果,有用性について高い評価が得られ,研究目的である自動評価LMSの実用化に見通しが得られた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
自動評価技術に基づく体育LMSは有用であることが確認され,研究目的は達成した.ただし筋肉トレーニングを対象としており,球技などの複雑な動作については動作認識上の課題があると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
自動評価を行う体育LMSの研究成果発表を以下の学会で行う. 14th World Congress of Performance Analysis of Sport (WCPAS), 27-30th August 2024.
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度の実験評価(最終的な評価)を終えたのが1月末であり,年度内の論文投稿(国際学会)が間に合わなくなった.このため投稿料および旅費として予定していた金額が次年度使用額となった.次年度の前半に論文投稿および研究発表を行う予定である.具体的には以下の学会をターゲットにしている. 14th World Congress of Performance Analysis of Sport (WCPAS), 27-30th August 2024.
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