本研究は、「ネット依存(ゲーム障害)予防教育」をテーマとして掲げ、そのための実態調査・分析をおこない、その結果を踏まえてのカリキュラム及び教材開発を実施し、効果検証を経てから、教育分野に各種教材を提供することまでを目的とした実践的研究である。依存症児童・生徒の増大は、今後、社会的損失につながり、学力低下は児童・生徒らの将来の選択肢を狭めることとなる。社会問題として対応すべき事項として、ネット依存(ゲーム障害)予防教育に早急に取り組む必然性があり、本研究はそれに寄与するものである。 研究の実績は主に3つに大別される。1つ目は、「①スマホ(SNS・オンラインゲーム・動画サイト視聴等)の児童生徒の依存度実態調査」である。どういった生活状況や利用実態、特性の持つ児童生徒が「依存」に陥りやすいのかも含めて実態を調査した。 2つ目は、「②予防教育のための系統性を持ったカリキュラム及びその実施のための教材開発」を行ったことである。「依存」に陥る時期は既に小学校それも低学年から始まっているといわれている。もしくは、塾や習い事等の連絡手段としてスマホ普及率が増大する中学生、そしてほぼ100%の所持率となる高校生から発症する場合もある。本研究では、小学校から高校生までの一貫したネット依存予防教育として、依存症対策カリキュラムを構築するとともに、各発達段階に応じた教材を開発し、数値目標として掲げた合計25本の教材(指導案・ワークシート・提示資料等)を達成した。 3つ目は、「③開発したネット依存予防教育用教材の効果検証と一般公開・提供」をおこなったことである。上記で掲げた開発教材については、教育現場での検証を実施し、より効果の高いものにブラッシュアップした。実際に、児童・生徒からの評価を得るとともに、実地で指導にあたる教諭の方々にも評価を得ることが出来た。
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