研究課題/領域番号 |
21K12180
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
丸山 広 青山学院大学, 情報メディアセンター, 助教 (20739015)
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研究分担者 |
中川 幸子 青山学院大学, 情報メディアセンター, 助手 (10839898)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 学習履歴データ / 教育データ可視化 / 教育研究システム |
研究実績の概要 |
本研究は,ラーニングアナリティクスの手法を活用しながら,教育研究システムに蓄積されるデータについて,システムの操作性や処理性能に起因して変動する学習履歴の要素に着目し,データを収集・集積する.システムログと学習履歴の相互関係に着目することで,効率的な授業運営や学習の妨げとなる要因を分析し,教育研究システムの改善の意思決定にフィードバックする手法を提案することを目的としている. 本年度は,教育研究システムに蓄積されるデータの収集や活用にあたり,集積基盤のプロトタイプを構築し,集積基盤が持つべきAPIを明らかにするため,学習活動履歴(Learning Management Systemの操作ログ)の可視化システムの研究開発に取り組んだ.この可視化システムは,キャンパス規模での実用的な利用に耐えうることを要件とし,サーバー側では可視化のための処理を行わず,学習活動履歴の蓄積・データ検索に特化し,可視化はウェブブラウザ側で行うシステム構成とした.本成果は,学習活動履歴をアバターの移動・仕草でリアルタイムに表現し,授業者が,遠隔授業における受講生の学習活動状況を俯瞰して把握できる「授業支援コックピット」として国内発表を行い,優秀賞を受賞した. このシステムは,授業支援システムのひとつであり,本研究の主目的である「効率的な授業運営や学習の妨げとなるシステム要因を分析する」にあたってのデータ蓄積・分析・改善フィードバックの対象となる. また,学習活動履歴およびシステムの処理性能を関連づけて分析し,改善フィードバックに繋げる試行として,教育研究システムの各機能操作の統計値とシステムの負荷を分析している.さらに,本務校におけるLearning Management Systemのシステム更改・改善活動を考察した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
以下の理由により,計画よりもやや遅れていると自己評価した. 1) 今年度に計画していたログ集積基盤の構築と分析の試行について,研究者のラップトップPCを用いて実施した.当初計画では,試行結果に基づいてサーバー環境を調達し,ログ集積・分析基盤を構築する計画であったが,昨今の事情により,コンピュータ機器の納期遅延が生じており,年度内の納品が不確実であったことからサーバーの調達は見送った.よって,本番環境であるサーバーがないことで,ログ集積・分析をリアルタイムに行うことには至っていないこと. 2) 教室などの実空間での行動分析については,1)と同じ理由により,分析機器の調達を見送ったこと,および撮影・分析対象の教室環境は構築中であること. 3) ログ集積基盤の構築と分析手法の実現可能性の検証は,ラップトップPCで実施できていること.また,教育データの可視化,およびアバターを利用した仮想教室空間モニタリングのためのシステムを開発し,集積されたログや学習履歴にもとづいたシステム改善手法にフィードバックし,一定の成果を得たこと.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,今年度着手した結果について整理し,学会発表などを行うほか,サーバー環境を調達・構築し,集積したログをラーニングアナリティクスと整合する形式に再編成して統合環境を構築し,統合環境の有用性を評価する.さらに,模擬授業の中で被験者に学習支援システムを使用してもらい,その操作ログの分析手法を明らかにする.さらに,分析結果を元に学習支援システムの改修を行い,再度使用してもらい,評価により,有用性を検証する.
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次年度使用額が生じた理由 |
半導体不足・コロナ感染症対策によるサプライチェーンへの影響により,サーバー・コンピューター機器の調達が年度内納品が不確実であったため,今年度は執行しなかった.サーバー環境の構築が実現しなかったため,被験者を集めての実験も行わなかった. 令和4年度には当初令和3年度に計画していた機器を調達し,サーバー環境を構築する.よって次年度に,令和3年度の計画と令和4年度の計画とを合わせて,実証実験・アンケート調査を複数回実施するために当初計画どおりに予算を使用する予定である.
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