本研究課題では、仮想人間(キャラクタ)の連続的・即応的な動作生成手法を開発する。現在、コンピュータゲームなどの用途では、あらかじめモーションキャプチャ機器等を用いて作成された短い基本動作データを順番に再生することでキャラクタの連続的な動作を実現する方法が一般的に用いられている。この方法では、あらかじめ準備された動作間・タイミングでの動作遷移しか行うことができず、現実の人間のように現在の動作から次の動作への急激な動作遷移を含むような即応的な動作生成は実現できない。本研究で開発する手法では、高レベルの足や重心の軌道を生成する機械学習モデルと、低レベルの全身動作生成のための機械学習モデルを組み合わせることで、入力された基本動作データをもとに、遷移動作や重心移動動作(下半身移動動作)を機械学習(深層学習)モデルにより生成し、連続的・即応的な動作生成を実現する。また、開発手法を、歩行動作、ダンス、スポーツ、格闘技などの広い範囲の動作に適用し、専門家の協力を得て収集した手本動作との比較・評価を行う。 これまでの研究により、深層学習を用いた連続的・即応的な動作生成手法の開発に取り組んだ。また、専門家の協力を得て、歩行動作や格闘動作の動作データをモーションキャプチャにより取得し、これらの動作データを使って開発手法のテストを行った。しかしながら、海外の研究グループから同様の目的の手法が発表されたこともあり、従来手法と比較して有効性のある手法の開発や成果発表を行うことはできなかった。本研究のアプローチで従来手法よりも有効性のある手法を実現できる見込みはあるため、引き続き研究を継続する予定である。一方で、本研究課題のメインテーマとは異なるが、群衆シミュレーションのための深層学習を用いた仮想人間の動作制御手法の開発を行い、こちらに関しては一定の成果を上げて、研究成果を発表できた。
|