研究課題/領域番号 |
21K12196
|
研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
半田 知也 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (20383648)
|
研究分担者 |
石垣 陽 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (50723350)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | ビデオゲーム / 視能訓練 / 眼球運動計測 / 脳機能計測 / 弱視 |
研究実績の概要 |
弱視治療のための視能訓練にビデオゲームを取り入ることで治療期間の短縮や患者の治療への参加率が向上することが期待されている。本研究は弱視治療のための視能訓練としてビデオゲームを取り上げ、その効果を定量的に解明し、弱視治療およびリハビリテーション応用なそのゲーム情報学分野の開拓を目的とする。ゲーム要素の内、「眼と手の協調運動」、「眼球運動(滑動性追従運動など)」、「固視」を中心に検討している。本年度は昨年度に構築した市販ゲームプレイ中の脳機能計測装置(近赤外分光法:near-infrared spectroscopy:NIRS)とアイトラッキングを監視できるシステムを用いて、ゲームプレイ中のインタラクション強度と測定した。ゲームプレイには眼と手の協調運動制御を行う観点から、ゲームコントローラを有するゲーム機(NINTENDO SWITCH)を主に用いた。複数のゲーム時の眼球運動パターンを評価することで、画面中央を固視するゲームと、画面全体に眼球運動を強いるゲームに大別することができることが確認された。例えば、前者は自動車運転ゲーム、後者は対戦型格闘ゲームである。複数のゲームの内、眼球運動とインタラクション強度の関係性を評価した結果、格闘系アクションゲームのような広範囲に眼球運動を強いる刺激は自動車運転ゲームのような中心の固視を強いる(キャラクターなど注視対象が常に画面中央ある)ゲーム刺激より、後頭葉視覚野に有意な賦活を生じることが確認された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究計画であった市販ゲームプレイ時のインタラクション強度の可視化について、昨年度構築したアイトラッキングとゲームコントローラの監視と脳機能計測の同期システムを用いることで、眼球運動成分評価を用いることでインタラクション強度を推定できることが確認された。無数の市販ゲームを眼球運動成分評価により大別することができる可能性が示された。次年度は眼球運動成分(速度、特性、エリア)の詳細な分析方法を構築し、脳機能計測と眼球運動評価を用いたインタラクションの強度の推定の確立を目的とする。本年度も新型コロナウイルス感染対策の為、被検者の測定は慎重且つ限定的に進めた。それ故、一部研究計画の未達の部分はあるが、ゲームのインタラクション強度を眼球運動測定を用いて評価できることを確認し、インタラクション強度を測定し一覧化すること重要な要素を見出すことに成功した。研究計画はおおむね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
脳機能計測とアイトラッキングによる眼球運動計測により、ゲームのインタラクション強度を測定しその要素を一覧化する。視能訓練への有効性が高いと考えられるゲームを20種類程度を選定し、これらを再度評価し、臨床試験への応用として特に有望な推奨ゲームを選別する。さらにゲームによる眼疲労の有無についても屈折・調節機能を中心として検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
ビデオゲームのインタラクション強度を評価できるシステム構築と評価項目を実験的に導くことを優先とした。未使用額は新型コロナウイルス感染対策として限定していた実験補助者の雇用費、データ解析用PC及びゲーム選定システム構築費であり、次年度使用する予定である。
|