研究課題/領域番号 |
21K12199
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
石川 知一 東洋大学, 情報連携学部, 准教授 (30635545)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | コンピュータグラフィックス / 物理シミュレーション / ビジュアルシミュレーション / 電磁流体力学 / 機械学習 |
研究実績の概要 |
本研究は,コンピュータグラフィックス分野の研究として,電磁流体のシミュレーションを行うことを目的としている。近年の宇宙物理学の知見から,電磁流体に起因する天体現象の映像化を行う場合に,プラズマ粒子の運動を捉えるスケール(以下,ミクロ)と,観測できるレベルの流体的振る舞い(以下,マクロ)を同時に計算に含むことが映像にリアリティを与えると考えられる。一般にプラズマ流体の数値計算法は大規模計算機環境の利用が必要になるが,現象の解析が目的で映像化のためにはモデルを適切に変更する必要がある。そこで本研究では,CG分野で広く用いられる階層型シミュレーションを取り入れ,ミクロな事象が映像というマクロなシーンに与える影響を考慮したリアルな映像を,商用利用可能な時間内で作成することを目的とする。また,観測手法をレンダリング計算に含めることで,提案法をレンダリングするだけでなく,同じ物理量を使用する宇宙物理学にも可視化の面で貢献する。 今年度は特に太陽のプロミネンスを再現するための電磁流体シミュレーションを開発することを目標としており,ミクロな領域を捉えるための機械学習の方法の実験と,最適化の方法についての検討を行った。これらの手法については別の事例にも適用できたり,既存技術の応用だったため,それらの研究発表を行なっている。研究題目のシミュレーションにおいて,ミクロな領域を計算しなければならなくなる条件の特定と,境界条件の設定において問題が発生したため,対処方法を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は,階層型シミュレーションを導入して電磁流体の再現を行うことを目的としている。想定したよりもミクロ領域に計算を渡すための領域特定が成功しない問題と,ミクロ領域を計算するための境界条件が不安定になる問題が発生しており,対応策を検討するフェーズが追加されたため,当初の予定より実装・実験が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で解決すべき大きな課題の1つはミクロな現象を再現するためのシミュレーション空間と,観測できる範囲のシミュレーション空間のスケールに大きな差が存在し,これらを矛盾なく接続することである。本研究では細部を付与するか,前計算のシミュレーション結果を参考にするという,CG分野で広く使用されている方法により実現できないかを実験したが,予定より精度が低かったり,数値計算が正常に終了しないことが発生したりするため,目標達成には至っていない。 次年度は,機械学習以外の方法も含めて,別のアプローチに切り替えて実装・実験を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
PCの購入を予定していたが,計算のアルゴリズムで問題が発生しているため計算力を強化することを先送りにした。プログラムを作成して,計算機が必要になってから購入することとする。
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