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2022 年度 実施状況報告書

Cs-137による複雑系土砂粒子群動態解析:吸着汚染物質の滞留期間の予測に向けて

研究課題

研究課題/領域番号 21K12205
研究機関津山工業高等専門学校

研究代表者

谷口 圭輔  津山工業高等専門学校, 総合理工学科, 准教授 (80774794)

研究分担者 遠藤 徳孝  金沢大学, 地球社会基盤学系, 准教授 (60314358)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード河川 / 堆積物
研究実績の概要

2011年の福島第一原発事故由来のCs-137のうち、河川を流下するものの90%以上が粘土などの微細土砂粒子に吸着されている。河川水中のCs-137は初年度に比べ1~2桁低下しているが、現在も初期沈着量の0.1-0.01%のオーダーで毎年流出し続けている。Cs-137の流路内の滞留に関連して、砂洲(礫洲)などの堆積物中の粗大粒子間隙にトラップされる粘土粒子の挙動の理解が必要である。
2022年度には、研究代表者の所属先である津山高専において、実験水路の制作をすすめ、2本の水路を完成させることができた。このうち、7cm幅水路はコンパクトなシステムで泥質を循環させる実験を想定し、粗粒からなる底面に泥質が浮遊する水流を作用させる実験が、15cm幅水路は2021年度に実施した予備実験のような、混合粒径の堆積物の粒径分別作用を観測する実験を想定して作成した。これらの水路制作過程は、2023年4月に新潟大学で開催された日本堆積学会において報告した。
現地観測については、2022年9月に南相馬市大原水辺公園におけるドローン空撮を行い、河川工事後の地形データを取得した。この時と、2023年1月に砂礫洲表層の土砂の採取をおこなうなど、現地観測を本格的に始動した。工事の影響で開始が1年遅れる形となったが、2023年末まで観測を続けることで、2年分のデータを取得できる。
2023年度は、現地観測を引き続き行うとともに、水路実験を推進し、数値シミュレーションの適用を進めていく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究代表者の所属先である津山高専において、実験水路の制作をすすめ、2本の水路を完成させることができた。このうち、7cm幅水路はコンパクトなシステムで泥質を循環させる実験を想定し、粗粒からなる底面に泥質が浮遊する水流を作用させる実験が、15cm幅水路は2021年度に実施した予備実験のような、混合粒径の堆積物の粒径分別作用を観測する実験を想定して作成した。これらの水路制作過程は、2023年4月に新潟大学で開催された日本堆積学会において報告した。
2020年度に改修工事が行われた影響で、南相馬市大原水辺公園における観測の開始が遅れていたが、2022年9月に、福島県南相馬市の大原水辺公園において、ドローンによる空撮と砂礫洲表層土のサンプリングを実施した。これにより、計画していた河床形の変化の観測が開始された。その後、2023年1月に、2回目の表層土サンプリングと、RTK-GPSによる地表高の測定を実施した。当初予定よりも観測期間が1年ずれるが、2023年末まで観測を継続することで、計画通りの期間の観測を実施できることになった。2022年9月のドローン空撮データをもとにDSMを作成し、2019年19号台風時の出水を再現する数値シミュレーションを実施した。
本研究の対象河川である新田川について、河川流量とSS・放射性セシウムのフラックスデータが、Nature Sustainability誌 (Bin et al. (2022)) および筑波大学のERANデータベース(Bin et al. (2022))にて公表された。このデータベースを活用して、新田川へのシミュレーション適用を進める。

今後の研究の推進方策

最終年度である2023年は、南相馬市の大原水辺公園における観測を夏と秋の2回実施するとともに、津山高専に設置した水路による水路実験を実施する。水路実験では、礫を模した粗粒砂と、泥質(あるいは、それを模した特8号砂)を用いた実験を行う。これらにより、1) 表層の礫が動くような条件下で、礫間にどの程度泥質が取り込まれるか 2) 礫と泥質が混ざった堆積物に流れが作用する場合に、どの程度泥質が抜けていくのか の2つ種類の実験を行う。
大原水辺公園では、2022年と2023年で、砂礫洲の位置がどのように変わったかを解析するとともに、新たに堆積した場所における砕屑物のCs-137濃度の変化を見ることで、SSの補足能評価を試みる。また、これまでに得られたデータをもとに、新田川に数値シミュレーションを適用する。

次年度使用額が生じた理由

河川工事の影響でドローン空撮ができなかったため、2021年に旅費を支出していない。2022年は現地観測を行ったが、2021年未実施分の旅費が「次年度使用額」が生じた理由である。
なお、研究代表者の異動により、現地調査にかかる旅費の単価が増加した。2023年度は当初予定通り現地調査を行う予定であるが、今回の次年度使用額は、この差額及び研究の補助を行う学生の旅費として支出する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 高専における水路制作実習2023

    • 著者名/発表者名
      谷口圭輔
    • 学会等名
      日本堆積学会 2023 年新潟大会

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公開日: 2023-12-25  

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