現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の本研究課題の進捗状況としては、昨年度に実施を予定していた中規模及び小規模擬似現場培養実験のうち、小規模擬似現場培養実験及び現場観測は愛媛県愛南町マダイ養殖いけすにおいて、夏季に集中して昨年度実施予定よりもより頻回で行うことが出来た(当初、2022年5,7,8,11月=>変更後、2022年5,6,7,8,10,12月)。そこで得られた研究試料を用いた実験、解析は順調に進めることが出来、予定通りに研究データを得た。その結果として、AAnPBを含むRhodobacteraceae科の動態に注目すべき特徴が見られ、本課題において、着目すべき細菌グループは本科に属することが明らかとなった。来年度は、今年度の解析に用いた研究試料を使って、AAnPB群集に特化したより詳細な構造解析を実施予定である。 一方、今年度に実施を予定していた岩手県大槌湾における中規模擬似現場培養実験については、実施することが出来なかった。現在、来年度の実施に向け、実験海域である岩手県大槌湾における現場観測およびそこでの実験に関わる共同研究者と、実施日程の調整や実施内容について詳細な話し合いを進めている。 以上の状況を踏まえて、本課題の現在までの進捗状況としては「おおむね順調に進展している」と判断している。 また、昨年度、愛媛県愛南町マダイ養殖いけすからのAAnPB分離株Jannaschia sp. AI_62のゲノム解読およびその生理性状試験を行ったが、今年度の研究成果として本海域の細菌群集動態解析から、本株が含まれるRhodobacteraceae科が本海域の有機物循環において重要なグループであることが示唆された。このことにより、来年度以降、より詳細なAAnPB群集動態の解析を進める上での科学的基盤として、Jannaschia sp. AI_62のゲノムデータ及びその生理性状試験結果の有用性が高まった。
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