近年の地球温暖化の進行に伴い,北極海氷が著しく縮小傾向にある。北極海氷の縮小には,単なる気温の上昇以外にも雲量の変化にともなう日射量の増減,海洋の温暖化,大陸河川からの淡水・熱量の流入量変動など多くの環境要因が複合的に作用しており,各要因の定量的な理解が必要となっている。大陸河川の水温や流量は,地上観測点での計測がこれまで行われているが,昨今の国際情勢や経済動向により近年観測網は縮小される傾向にある。本研究は,日本の人工衛星センサSGLIを活用し,北極海流入主要河川の表面水温と河道幅を世界で初めて高頻度に観測することに成功したもので,北極海流入熱量の変動メカニズム解明に貢献できると期待される。
|