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2023 年度 実施状況報告書

リン(+III)は湖沼環境のリン循環に寄与するか

研究課題

研究課題/領域番号 21K12209
研究機関滋賀県立大学

研究代表者

丸尾 雅啓  滋賀県立大学, 環境科学部, 教授 (80275156)

研究分担者 岩田 智也  山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (50362075)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワードメチルホスホン酸 / P(+III) / 西湖 / リン循環 / 水温躍層 / 水酸化鉄(III)共沈法 / 琵琶湖 / イオンクロマトグラフィー
研究実績の概要

メチルホスホン酸の季節変動を追うべく、2023年8月29日と10月18日に,西湖の湖心部(11深度),流入河川:入沢川,流出部で採水した.前年度までに開発した水酸化鉄 (Ⅲ) による共同沈殿濃縮法を用いて、メチルホスホン酸を選択的に試水から分離濃縮した.試水中のオルトリン酸、そして濃縮後のメチルホスホン酸をイオンクロマトグラフィーによって定量した.メタン濃度もデータを提供いただくことができた.
8月の試料を測定したところ、水温躍層(8.5 m)において,メチルホスホン酸を検出できた(0.5 nmol/L).最深部(67m)を除き,他の深度では検出限界以下(<0.07 nmol/L)であった.なお,水温躍層におけるオルトリン酸濃度は検出限界以下(<0.3 nmol/L)であり,同深度より少し浅い7.5mでメタン濃度が極大を示した(0.53 μmol/L) .一方10月は水温躍層(11m)において,メチルホスホン酸,オルトリン酸いずれも検出限界以下であり,メタン濃度の極大(0.51μmol/L)が確認された.メチルホスホン酸濃度は水温躍層の少し上部(9.0 m)で0.3 nmol/Lであった.入沢川は,メチルホスホン酸濃度が8月に0.4 nmol/L,10月に1.2 nmol/Lと高濃度であり、オルトリン酸濃度は8月より10月の方が高く,メタン濃度は逆になった.
水温躍層に近い深度でメチルホスホン酸が検出され、一方でオルトリン酸は検出限界以下であったことから、メチルホスホン酸の消費がうながされる状態が起こっていた可能性がある。一方で、入沢川のように、高濃度のメチルホスホン酸をふくむ水の流入が影響している可能性もあることから、今後西湖の集水域の影響について詳細な検討が必要と考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2022年度は新型コロナウイルス感染症が夏季に蔓延したため、西湖への調査を取りやめざるを得なかった。このために試料採取の頻度が低く、さらなるデータ取得が必要となっている。2024年度は再度試料採と定量を広範囲に行い、集水域の影響についても考察できるデータセットをそろえたいと考えている。

今後の研究の推進方策

上述したように、メチルホスホン酸の濃度分布等、十分なデータが得られていないので、今夏を中心に再度試料採取と定量を行う予定である。また、集水域の影響について詳細に調査したいと考えており、共同研究者のサポートのもと、沿岸域においても複数の採水を行い、メチルホスホン酸が沿岸由来なのか、西湖の沖帯での生成が中心なのかを確認する予定である。

次年度使用額が生じた理由

2024年度は西湖での調査・旅行費・船の借上げ・調査協力のための雇用・目的成分の定量のための費用が必要である。このために2名出張・調査・使用している装置の修理費等を次年度に繰り越した。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Thermally modified bamboo-eggshell adsorbent for phosphate recovery and its sustainable application as fertilizer2023

    • 著者名/発表者名
      Sarker Protima、Liu Xin、Hata Naoki、Takeshita Hiroki、Miyamura Hiroshi、Maruo Masahiro
    • 雑誌名

      Environmental Research

      巻: 231 ページ: 115992~115992

    • DOI

      10.1016/j.envres.2023.115992

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] 淡水湖におけるメチルホスホン酸の定量と分布2023

    • 著者名/発表者名
      丸尾雅啓・山本知季・小畑元・岩田智也
    • 学会等名
      日本陸水学会 第87回 大分大会

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公開日: 2024-12-25  

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