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2023 年度 実施状況報告書

水田と茶畑をモデルケースとした亜硝酸ガス(HONO)発生の定量とメカニズム解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K12213
研究機関国際基督教大学

研究代表者

峰島 知芳  国際基督教大学, 教養学部, 上級准教授 (20550198)

研究分担者 藤沼 良典  国際基督教大学, 教養学部, 准教授 (00826026)
早間 良輔  国際基督教大学, 教養学部, 准教授 (70781798)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2027-03-31
キーワード亜硝酸 / HONO / 硝化 / 脱窒 / 水田 / 茶畑 / 菌叢 / 活性汚泥
研究実績の概要

気相亜硝酸 (HONO)は大気中でOHの前駆体である為、HONOの挙動を研究することはOHの濃度を推定するのに有用である。HONOの日中における放出源が未解明で、土壌からの放出が示唆されている。HONO放出量は亜酸化窒素(N2O)放出量と比較しても無視できない量であることが明らかになってきた。また、硝化脱窒のダイナミクスは、これまでアンモニウムイオン(NH4+)、硝酸(NO3-)の動態を中心として考察されてきたが、新しい知見をもとに亜硝酸(NO2-)を中心として窒素動態を捉え直す必要性が近年提案された。日本の主要農地である水田と茶畑は、共にN2O放出量が非常に多い。しかし、その土壌環境は好対照で、嫌気条件の長い水田と好気条件の長い茶畑ではHONO発生・放出プロセスが大きく異なると考えられる。そこで本研究では日本の主要農地である水田と茶畑から放出されるHONOを定量し、その発生メカニズムを比較・解明することを目的とする。
最初の目標はHONOは土壌からどれだけ出ているのか計測し、アクティブな菌叢を明らかにすることである。これまで、実験のポット試験の練習として、畑土壌からのHONO発生量を計測した。ダイナミックチャンバーとフィルターパック法を用い、捕集されたHONOは、イオンクロマトグラフィーで分析した。また、窒素負荷量の違いによるHONOフラックスの変化を確かめるため、施肥量を変えてHONO発生量の経日変化を測定した。土は東京農工大学農学部の畑から採取した。当畑の土は通常尿素を肥料として加えているため、室内実験でも同様に尿素を添加した。窒素負荷量の違いによるHONOフラックスの窒素負荷量の違いによって、HONOフラックスに大きな変動は見られなかった。むしろ窒素を加えていない系が最も高いフラックスを示していた。硝化があまり起こっていない可能性があるため、これからその原因を探る。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

2023年3月に研究室の引っ越しが3あり、2023年度は、研究室の立下げ、立ち上げ、計測装置の再設置等が合った為、当初よりも遅れている。

今後の研究の推進方策

次のステップは、水田土壌について、同様の実験を行うことである。その際、土壌水分量、土壌中無機物質量(土壌中または間隙水中のNO2-, 溶存N2O, NH4+, NO3-, pH,)、有機物質量、菌の活性, Ehを調査する。また、茶畑の土壌について同様の実験を行い、アクティブな菌叢を測定する予定である。硝化・脱窒の経路の活発さについて解明するには、安定同位体を用いた測定が最も適している。15NO3-を添加し、15N2O, HO15NOを測定する。次に15NH4+のみ15Nにした測定を行い、脱窒過程の寄与を見積もる。また、NH4+やNO3-の窒素をすべて14Nに置換する方法も行い、整合性を確認する。この方法は、より安価な方法で、今後も頻繁に用いることが予想されるので、精測方法をぜひとも習得する。茶畑についてはインタクトコアを用いて、土壌そのものを分析する。HONOの測定には、ダイナミックチャンバーとフィルターパック法を用いる。フィルターパックで捕集されたHONOは、イオンクロマトグラフィーで分析する。菌の活性については、HONO発生量の多い時期・条件を検討し、その条件で存在量の多い菌叢をPCR法を用いて解析することにより、水田土壌・茶畑からのHONO発生に最も貢献している菌を推測する。 また、酵素の活性を計測することにより、菌の活性を確認し、HONO発生に最も寄与の大きい硝化・脱窒のプロセスを同定する。

次年度使用額が生じた理由

2022, 2023年度は研究室の引っ越しの為、機器の購入等を控えてしまった。また、出張に行くことが難しい学内の状況であった為、旅費の使用が無かった。しかし、次年度以降は、今年度に控えた機器の購入を行い、研究を進めていく。アルバイトをお願いして、研究をスピード感を持って進めていくことを検討している。

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公開日: 2024-12-25  

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