本研究の目的は、1)ドームふじアイスコアに保存されている真菌を1細胞ずつ分離し、DNA分析する方法を開発すること、2)アイスコア中の古代真菌について包括的にDNA系統解析をおこなうこと、3)古環境変動データと組み合わせることで、環境変動が真菌の起源(発生源)や数、種組成に及ぼした影響を解析することにある。 今年度は、氷試料から真菌細胞を捕集する方法について検討を始めた。本研究では真菌細胞の捕集に細胞分離装置を用いる計画とした。氷試料を融解し、融解水試料を本装置に導入するのだが、導入量は数mlに限られる。アイスコア中の真菌細胞濃度は低いため、前処理として細胞を濃縮する操作が必要となる。そこで、遠心分離による濃縮を試すこととした。そのために遠心分離機を購入した。この方法で効率よく濃縮できない場合は、融解水試料をフィルターろ過し、フィルター上に細胞を捕集する。その後、フィルターを少量の水に浸し、フィルターから細胞を剥離させる操作を追加する予定である。 尚、南極地域観測隊の越冬隊員として南極昭和基地にて観測活動に従事することになり、その期間は研究活動を進めることが困難になったため、本研究課題の研究を令和3年11月1日より一時中断することとした。
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