研究課題/領域番号 |
21K12216
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研究機関 | 国立研究開発法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
池田 恒平 国立研究開発法人国立環境研究所, 地球システム領域, 主任研究員 (60726868)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ブラックカーボン / 短寿命気候強制因子 / 短寿命気候汚染物質 / 排出インベントリ / 化学輸送モデル / 東アジア / SLCF / SLCP |
研究実績の概要 |
気候変動や大気汚染に関する研究において、国際的に幅広く利用されている6種類の排出インベントリを対象に2010年の中国からのBC排出量を比較したところ、推計値には約2倍の差があり、インベントリ間で大きなばらつきが存在することがわかった。また、主要な排出部門別の排出量を比較から、総排出量のばらつきは家庭部門や産業・エネルギー部門の差によるものであることがわかった。次に、各インベントリのBC排出量を大気化学輸送モデルに入力したシミュレーションを行い、アジア大陸由来の大気汚染の観測に適した長崎県福江島でのBC観測値と比較した。中国からのBC排出量を検証するために、観測とモデルの比較には、中国起源BCの影響が大きくかつ、輸送途中で降水による大気中からの除去が生じていないデータのみを使用した。解析の結果、4つのインベントリについては、モデルと観測のBC濃度比が50%以内で一致することがわかった。一方、残り2つのCEDSインベントリとECLIPSEv5aインベントリについては、BC排出量の過大評価が示唆された。CEDSインベントリは、IPCC第6次評価報告書で参照された第6次結合モデル相互比較実験(CMIP6)に使用された排出インベントリであり、CMIP6のシミュレーション結果において中国起源BCの温暖化影響が過大に評価されている可能性が示唆された。この成果は国際学術誌「Environmental Science: Atmospheres」に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大気化学輸送モデルと地上観測データを用いて、排出インベントリの中国からのBC排出量を検証・解析するとともに独自に推計した結果をまとめ、論文が掲載された。
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今後の研究の推進方策 |
東アジアにおける10年スケールのBC排出量の推移について、複数の排出インベントリおよびIPCC第6次評価報告書で使用された将来シナリオの妥当性を検証する。大気化学輸送モデルを用いて複数のインベントリ・将来シナリオを入力した長期計算を行い、アジア大陸の風下域でのBC観測データの長期傾向と比較する。
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次年度使用額が生じた理由 |
大規模数値計算のデータ保存用にストレージの購入を予定していたが、その前に論文化できる成果が得られ、今年度は解析と論文発表に集中したため購入は見合わせた。ストレージの購入は翌年度分と合わせて行う計画である。
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