本研究では,富栄養化水域谷津干潟における硝化過程を時空間的に把握するために,硝化によって生成されるヒドロキシルアミンのモニタリングを行った.2021年から2022年における海水と堆積物間隙水のモニタリングの結果,ヒドロキシルアミン濃度は間隙水の方が海水よりも高かったことから,硝化が活発に起こるサイトは堆積物表層であると考えられた.また統計解析により,堆積物表層における硝化は,温度と海水および間隙水のNH4+基質の供給に依存しており,還元環境の形成によって阻害されることが示された.谷津干潟内の水の滞留による嫌気環境の形成が硝化を阻害し、その後の窒素除去過程である脱窒も抑制する可能性が示唆された.
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