研究課題/領域番号 |
21K12226
|
研究機関 | 福島工業高等専門学校 |
研究代表者 |
羽切 正英 福島工業高等専門学校, 化学・バイオ工学科, 准教授 (70435410)
|
研究分担者 |
加島 敬太 小山工業高等専門学校, 物質工学科, 准教授 (90710468)
間中 淳 富山高等専門学校, その他部局等, 准教授 (90413757)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 分析デバイス / 目視定量 / 重金属 / 環境分析 / 比色法 |
研究実績の概要 |
本課題では,水を『すくい取る』というワン・モーションだけで液中の微量有害金属を定量できる電力不要の分析デバイスを開発し,世界中のだれもが安全な水を確保できる持続可能な社会の実現を目指している。本研究では,液中の有害金属イオン種と反応する発色層をマイクロプレートの内部に形成し,プレートで水を掬うだけで金属イオンを検知できるデバイスを開発する。この発色層は発色剤・妨害剤(発色抑制剤)によって構成され,意図的に妨害剤を添加することによって発色を抑制することで特定濃度以上でのみ発色するよう工夫される。こうして得られた『様々な発色閾値をもった発色層』をマイクロプレートのウェル(穴)に連続的に配置し,このプレートで検体を掬うことで,『どこが発色したか』『何ヶ所発色したか』によるイオン濃度の定量分析が可能となる。 その実現のため令和3年度においては(1)金属イオン濃縮能と金属イオン検知発色能を併せ持つ生体高分子素材の不溶化層(発色層)を形成する手法の開拓,ならびに(2)特定イオン濃度が一定以上だと発色する仕組みの構築について,実験的な検討を行った。 対象金属イオン種を銅イオンとし,水溶性バイオポリマーを基材とした銅イオン濃縮能を有するイオン検知発色層の構築を試みた結果,比色定量試薬であるバソクプロインを用いた系において銅イオンの高感度検出が可能であることが明らかとなった。また,特定イオン濃度が一定以上で発色する仕組みの構築についても,銅イオンを対象として検討した結果,銅の環境基準および一律排出基準である1~3 mg/L近傍において銅イオン濃度を着色の有無によって見分けられる比色検出系を構築できた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
水溶性バイオポリマーを基材とし,銅イオン濃縮能を有するイオン検知発色層の構築を試みた結果,比色定量試薬であるバソクプロインを用いた系において銅イオンの高感度検出が可能であることが明らかとなった。また,特定イオン濃度が一定以上の場合にのみ発色する仕組みの構築について,銅イオンを対象として検討した結果,銅の環境基準および一律排出基準である1~3 mg/L近傍において銅イオン濃度を着色の有無によって見分けられる比色検出系を構築できた。
|
今後の研究の推進方策 |
当初の計画の通り,イオン検知発色層ならびに色の有無によるON/OFF型比色検出系の構築について検討を進める予定である。また,令和3年度に得られた成果について論文化を進める計画である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究の進行具合ならびに学内の機器整備計画との兼ね合いから,配備予定にあった一部機器の導入を見合わせた。また当該研究の成果発表について,開催される学会がオンライン開催となった都合で旅費額等に変更が生じた。これらの理由から繰越使用額が生じており,次年度以降に機器の導入,消耗品購入,学会への参加によってこれらを使用する計画である。
|