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2021 年度 実施状況報告書

新規カドミウム毒性修飾因子の同定とその調節機構

研究課題

研究課題/領域番号 21K12259
研究機関愛知学院大学

研究代表者

李 辰竜  愛知学院大学, 薬学部, 准教授 (80581280)

研究分担者 佐藤 雅彦  愛知学院大学, 薬学部, 教授 (20256390)
徳本 真紀  愛知学院大学, 薬学部, 講師 (90614339)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードカドミウム / 腎臓細胞 / DPYS / OTOGL / CRYAA
研究実績の概要

本年度はまず、ヒト由来の腎近位尿細管上皮細胞(HK-2細胞)を用いて、ターゲット因子CRYAA、OTOGLおよびDPYSの遺伝子発現に及ぼすカドミウムの影響を調べた。HK-2細胞を10、20、30 uMのカドミウムで6時間処理した後、total RNAを抽出し、逆転写を行い、リアルタイムRT-PCRで、遺伝子発現レベルを調べた。その結果、CRYAAおよびOTOGLの遺伝子発現レベルはカドミウム処理により顕著に増加したが、DPYSの遺伝子発現レベルは有意な変動を示さなかった。次に、siRNA処理による上記遺伝子ノックダウンがHK-2細胞のカドミウム感受性に及ぼす影響を調べた。まず、CRYAA、OTOGLおよびDPYSを標的とするsiRNAをそれぞれ因子に対して3種類ずつ設計した。各遺伝子を標的とするsiRNAをLipofectamine試薬を利用して導入し、48時間後、ノックダウン効率をリアルタイムRT-PCRで検討した。その結果、いずれのsiRNA導入による顕著なノックダウン作用が認められた。次は、siRNA導入によるDPYS遺伝子ノックダウンがHK-2のカドミウム感受性に及ぼす影響を調べた。それぞれのsiRNAを48時間処理し、5 uMから50 uMのカドミウムで24時間処理しAlamar blue試薬を利用して細胞生存率を検討した。その結果、DPYS siRNA処理細胞において、はコントロールに比べ、著しいカドミウム毒性増強作用が認められた。以上の結果より、カドミウムによるDPYSの遺伝子発現の変動は示されないが、DPYSはカドミウム毒性軽減に関与する可能性が示唆された。また、カドミウムによるCRYAAおよびOTOGLの発現上昇は細胞生存に何らかの影響を与える可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本年度は、OTOGL、CRYAAおよびDPYSのうち、DPYSの細胞内発現変動がカドミウム毒性発現に及ぼす影響のみ明らかにされた。当初の計画では、3種類の全ての遺伝子のノックダウンによるカドミウム毒性変動を検討する予定だったが、1種類の検討のみ行われた。各遺伝子に対するsiRNAの設計およびリアルタイムRT-PCR実施のためのプライマーの設計にかなり苦労しており、時間が経ったため、やや遅れている状況となった。現在はそれぞれの設計が完了したため、素早い検討が実施できると期待される。

今後の研究の推進方策

今後は、OTOGLおよびCRYAAのノックダウンによるカドミウム毒性変動を調べるとともに、カドミウム以外の有害重金属類(水銀化合物、ヒ素、亜鉛および銅)の各標的組織由来の培養細胞の感受性変動に及ぼす影響を検討することにより、上記遺伝子のカドミウム腎毒性特異的作用を明らかにする。また、カドミウムによる不要タンパク質蓄積作用に及ぼすCRAYYの役割、腎臓細胞の物質輸送能異常およびアクチン重合におけるカドミウム毒性発現とOTOGLとの関係、カドミウムで処理した培養細胞における細胞内ピリミジン代謝系の代謝産物の量的変動およびそのカドミウム由来の変動代謝産物の細胞内レベルに及ぼすDPYS欠損の影響を検討し、カドミウムによる代謝産物の量的変動とDPYSタンパク質との関係を明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

当初計画であった、OTOGLおよびCRYAAの細胞内遺伝子発現の変動がカドミウム毒性発現に及ぼす影響の検討が、siRNA並びにプライマー設計の遅延のため、行うことができなかった。また、その研究成果をもって論文執筆を計画したが、その執筆も遅れたため、次年度使用額が生じた。そこで次年度には、今年度予定であったOTOGLおよびCRYAAの遺伝子変動がカドミウム感受性に及ぼす影響を引き続き検討する必要や論文執筆の必要もあるため、次年度使用額を充てることとする。

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公開日: 2022-12-28  

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