エストロゲン受容体ERα陰性乳がんの悪性化には、脂肪酸の量的変化ではなく、その質的変化が関与していると考える。この質的変化を引き起こす要因として、環境化学物質によるペルオキシソーム増殖剤活性化受容体α(PPARα)を介した脂肪酸2位水酸化酵素(FA2H)の発現誘導を想定し、この仮説の証明を目指した。本研究では、PPARαの活性化作用を有し、ERα陰性乳がんリスクに正の相関が示唆されているペルフルオロオクタン酸(PFOA)に焦点を当て、解析を進めた。その結果、PFOAはPPARαの活性化に呼応したFA2Hの発現誘導を介してERα陰性乳がん細胞の悪性化を来たすことが明らかとなった。
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