研究課題/領域番号 |
21K12263
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研究機関 | 国立医薬品食品衛生研究所 |
研究代表者 |
安井 学 国立医薬品食品衛生研究所, 変異遺伝部, 室長 (50435707)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | DNA付加体 / 代謝活性化 / 薬物代謝酵素 / 変異原性物質 / S9 |
研究実績の概要 |
本研究において、実験で使用した間接変異原性物質は、サイクロフォスファミド、1-ニトロピレン、ベンツ(a)ピレン、オルトトルイジン等である。各変異原性物質の最適濃度、ラット肝S9の最適濃度、核酸塩基dNの最適濃度、および反応バッファーの種類や透析膜のポアサイズの選択など、パラメータが多く実験条件の最適化に非常に時間を要している。各変異原性物質をラット肝S9mixとともにの透析膜内で代謝活性化(37度で数時間)させたあと、その透析膜外にdG水溶液を置き、さらに数時間反応させた。その透析膜外のdG水溶液の一部をHPLCで解析した結果、現段階の実験条件では、オルトトルイジン以外の変異原物質からは、候補となる新規DNA付加体と予想されるピークの存在が無かった。そのオルトトルイジンの候補となる新規DNA付加体も収率は低かった。 また並行して、ラットS9、およびヒトS9に含まれる薬物代謝の酵素群の組成についてプロテオミクスによって明らかにした。 以上のことから、引き続き最適な実験条件を模索する予定であるが、S9mixだけでDNA付加体形成までに容易に至らないことが分かった。すなわち、S9はAmes試験など遺伝毒性試験で汎用されているが、想像以上にAmes菌株や培養細胞などの代謝酵素が果たす役割が大きく、S9と連携して代謝活性化条件を作り出していると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
様々な変異原性物質を使用して実験条件を探索し、最適条件を絞り込んだ。また、ラット肝S9に含まれる薬物代謝酵素群についてもプロテオミクスによって明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
培養細胞のタンパク質抽出液を用いること、および薬物代謝第Ⅰ相酵素だけで代謝活性化されるような間接変異原性物質に焦点を絞ることなどを、重点的に引き続き最適な実験条件を模索する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者が所属する変異遺伝部は、遺伝毒性試験で使用する試薬類(変異原性物質やS9)、および実験器具を有しているため、初年度はそれらを使用した。
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